医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The ebbs and flows of empathy: a qualitative study of surgical trainees in the UK (BMC Med Educ 2024)

Yannamani P, Gale NK. The ebbs and flows of empathy: a qualitative study of surgical trainees in the UK. BMC Med Educ. 2024;24:131.

背景:共感は、患者の転帰と満足度に貢献する医療行為の重要な要素として広く認識されている。また、医療チームにおける共同作業の重要な要素でもある。しかし、患者に対する共感性は時間の経過とともに、特に外科専門医においては低下することを示唆する証拠がある。特に英国では、外科研修生におけるこの低下に関する質的研究はほとんどない。そこで本研究の目的は、外科研修生がキャリアの過程で患者や同僚に対する共感をどのように経験し、また他者に対してどのように共感しているかを探ることである。

方法:2022年1月と2月に、異なる学年と専門分野の外科研修生を対象に10回の半構造化面接を実施した。データの解釈にはフレームワーク分析を用いた。

結果:参加者は、個人的経験と職業的経験が加わるにつれて、キャリアのなかで共感性が進化していくことを経験していた。参加者は、共感性の鈍感化と実際の低下とを区別し、キャリアにおいて前者を経験したことをより強く認識していた。参加者はまた、専門職間の関係には共感が必要であり、これを改善することができると感じていた。最後に、参加者はCOVID-19の流行が自分たちのトレーニングに与えた具体的な影響について強調した。

結論:参加者は、研修機会へのアクセスや同僚との関係に関して、研修は改善されるべきであると感じていたが、多くの参加者は、同僚間の共感は以前より良くなっていると感じていた。このプロジェクトは、キャリアの後期段階にある外科医を対象とした研究や、混合法のプロジェクトなど、今後の研究課題を浮き彫りにした。