医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

'They mirror what they see': A constructivist grounded theory study of simulation culture in four professional domains in Ireland (Med Teach 2024)

O'Toole M, Doyle A, Collins N, Sullivan C, Mulhall C, Condron C, Doherty E, Eppich W. 'They mirror what they see': A constructivist grounded theory study of simulation culture in four professional domains in Ireland. Med Teach. 2024 Feb 10:1-8. Epub ahead of print.

背景:シミュレーションに基づく教育(SBE)において、教育者は学習者を実社会での実践に備えるために職業経験を統合するが、その際に非生産的な固定観念的バイアスが埋め込まれる可能性がある。学習文化は教育実践に影響を及ぼすが、専門的文化とSBEとの相互作用はあまり明確ではない。本研究では、ヘルスケア、法学、教員養成、救急医療において、専門的な学習文化がシミュレーションの実践にどのような影響を与えるかを検討する。

方法:構成主義的グラウンデッド・セオリーを用いて、19名の教育者にシミュレーションに基づくコミュニケーション・トレーニングの設計と実施における経験についてインタビューを行った。データ収集と分析は、定比較、メモ書き、反射的分析ディスカッションを繰り返し行い、テーマを特定し、その関連性を探った。

結果:SBEの多様な概念化と実践が、専門的な学習文化の違いを生み出していた。SBEの目的と根拠、専門家の価値観と信条、教育の習慣と技法という3つの要素が相互に関連することによって形成された、専門的実践の超リアルな表現を反映した、各専門職における独自の「シミュレーション文化」が確認された。ダイナミックなシミュレーション文化は、その後の専門職間の実践のための学習に役立つこともあれば、妨げとなることもある緊張関係を生み出した。

結論:シミュレーション文化の概念は、SBEに対する理解を深めるものである。シミュレーション教育者は、単一職種による学習文化とその影響に留意しなければならない。専門職の垣根を越えてシミュレーションの実践に関する知識を共有することは、専門職間教育や学習者の専門的実践を強化する可能性がある。