医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Transition to Residency: National Study of Factors Contributing to Variability in Learner Milestones Ratings in Emergency Medicine and Family Medicine (Acad Med 2023)

Park YS, Ryan MS, Hogan SO, Berg K, Eickmeyer A, Fancher TL, Farnan J, Lawson L, Turner L, Westervelt M, Holmboe E, Santen SA; Medical School Outcomes Milestones Study Group. Transition to Residency: National Study of Factors Contributing to Variability in Learner Milestones Ratings in Emergency Medicine and Family Medicine. Acad Med. 2023;98:S123-S132.

背景:研修期間中の学習の発展的軌跡は、研修生個人の成績のばらつき、プログラムレベルの要因、卒業したメディカルスクールの影響、学習環境など複数の要因に起因すると考えられる。メディカルスクールと研修期間中の学習者の成績との関係を理解することは、レジデンシーおよび卒後研修への効果的な移行を図るための卒前カリキュラム戦略および教育アプローチの優先順位を決定するうえで重要である。本研究では、救急医学(EM)と家庭医学(FM)の全国コホートデータを用いて、卒業したメディカルスクール、研修プログラム、学習者による変動に焦点を当て、レジデントのマイルストーン評価の縦断的変動と発達的変動の要因を探る。

方法:2016年7月にレジデントが入局したプログラムのデータを用いた(EM:n = 1,645レジデント, 178研修プログラム; FM:n = 3,997研修医, 487研修プログラム)。データの傾向を調べるために記述統計を用いた。クロスクラス混合効果回帰 (Cross-classified mixed-effects regression)を用いてマイルストーン評価の分散成分を分解した。

結果:卒後年度(PGY)-1では、卒業したメディカルスクールがマイルストーン評価のばらつきの5%と6%を占めたが、PGY-3ではEMとFMでそれぞれ2%と5%に減少した。PGY-1では研修プログラムのばらつきが大きかったが(EM = 70%, FM = 53%)、PGY-3では減少し(EM = 62%, FM = 44%)。患者ケア(PC)、医学知識(MK)、システムベース実践(SBP)では研修期間によるばらつきが大きかった。学習者のばらつきは、PGY-1(EM = 23%、, FM = 34%)とPGY-3(EM = 34%, FM = 44%)の間で有意に増加し、実践に基づく学習と改善(PBLI)、プロフェッショナリズム(PROF)、対人コミュニケーションスキル(ICS)のばらつきが大きかった。

結論:マイルストーン評価の最も大きなばらつきは、研修プログラムに起因するものであり、学習者、メディカルスクールによるばらつきはそれほど大きくない。プログラムレベルの因子が学習者に与える動的な影響は、1年目から研修期間中にかけて変化し、研修期間を通してレジデントの成績にカリキュラム、指導、プログラム上の因子が影響することを浮き彫りにしている。