医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Effectiveness of Life Goal Framing to Motivate Medical Students During Online Learning: A Randomized Controlled Trial (Perspect Med Educ 2023)

Gavarkovs AG, Crukley J, Miller E, Kusurkar RA, Kulasegaram K, Brydges R. Effectiveness of Life Goal Framing to Motivate Medical Students During Online Learning: A Randomized Controlled Trial. Perspect Med Educ. 2023;12:444-454.

背景:教育者は、オンライン環境における医学生の動機づけを支援するための戦略を設計する必要がある。学習活動を、臨床実習を通じて人生の目標(例えば、人助け)を達成するための準備として学生にとらえさせること(「人生目標フレーミング (life goal framing)」と呼ばれる戦略)は、学生の自律的動機づけ、学習方略の使用、知識の保持を高める可能性がある。しかし、学習に対する知覚的能力(perceived competence for learning; PCL)が低い学生にとっては、人生目標フレーミングは悪影響を及ぼす可能性がある。ランダム化比較試験を実施し、人生目標フレーミングの有効性と学生のPCLの調整効果を検証した。

方法:カナダの4大学の医学部1年生と2年生(n=128)を、人生目標フレーミングを促すプロンプトが埋め込まれたオンライン・モジュールを受ける群と、受けない群にランダムに割り付けた。学生の動機づけ、学習方略の使用、知識の保持を評価した。ベイズ回帰を用いて、各結果に関する条件間の差を推定した。

結果:学生のPCLは自律的動機づけのモデレーターであったが、他の結果についてはモデレーターではなかった。プロンプトは、リンククリック行動に対するわずかな効果を除き、PCLが高い学習者であっても、どの結果に対しても統計的に有意な効果を示さなかった。

結論:本研究の結果から、学習者の自律的動機付けは、学習者が将来の人生目標と現在の自信という観点から、どのように指導を意味づけるかに影響されることが示唆された。現時点では、人生目標フレーミングを効果的なデザイン戦略として推奨することはできないが、自信の高い学習者に対して人生目標フレーミングの効果を高めるための今後の研究を指摘する。