医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Community-based nursing: a concept analysis with Walker and Avant's approach (BMC Med Educ 2023)

Zeydani A, Atashzadeh-Shoorideh F, Hosseini M, Zohari-Anboohi S. Community-based nursing: a concept analysis with Walker and Avant's approach. BMC Med Educ. 2023;23:762.

背景:近年、地域に根ざした看護 (community-based nursing)は、既存および将来の問題や課題に対する適切な解決策として、各国の看護学校から注目されているが、この概念についての包括的で正しい理解はまだなされておらず、その重要性に鑑み、本研究は、地域に根ざした看護の概念を分析することを目的として実施された。

方法:WalkerとAvantの8段階アプローチ (Walker and Avant's 8-step approach)を用いて概念分析 (Concept analysis)を行った。1990年から2023年まで、看護、地域密着、概念分析、Walker and Avantをキーワードに、看護辞書、ペルシア語辞書、研究論文、雑誌・学会論文、学位論文、書籍、その他研究概念に関連する資料を検索エンジンや利用可能なデータベースを通じて調査した。最終的に、この概念に関連する54の論文をレビューし、分析した。

結果:その結果、地域に根ざした看護には、「個人志向/家族志向/地域志向」「地域や関係者との社会的パートナーシップ」「社会正義」「集団や職種間の協力」「主な活動の場としての地域」「文化的多様性に基づいたサービスの提供」「文脈や状況、地域のニーズに応じたサービスの提供」「生涯を通じて健康問題を抱える個人や家族のケア」「地域のニーズへの対応」「地域に根ざした経験、地域の文脈の中で現実の問題に向き合う」「問題ベース・サービスベースのアプローチの使用」「文脈に基づいたケアの提供」「健康に影響を与える要因の考慮」といった属性があることが示された。また、この概念を明確にするために、境界領域や関連する事例(地域保健看護、地域志向看護、集団基盤看護、公衆衛生看護)も提示された。地域に根ざした看護の先行要因としては、地域に根ざした看護の位置づけの決定、インフラと構造の構築、大学、病院、地域社会の連携、あらゆる場面の特定、教育に精通した教育者の存在、地域社会のニーズの調査、知識、コミュニケーション、地域に根ざしたスキルの保有、看護師の役割の拡大、地域志向の看護に対する関係者の態度、経営と財政的支援などが挙げられた。地域に根ざした看護の結果としては、看護師の能力開発、地域に根ざした看護の課題解決、個人、家族、地域社会の健康ニーズへの対応、社会正義、医療サービスへのアクセス向上などが挙げられた。

結論:本研究の結果は、実践における地域密着型看護師の活用とその教育について、客観的で理解しやすいイメージを提供することができる。また、地域密着型看護に関する量的・質的研究をさらに実施することが推奨される。