医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

A Critical Review of Professional Identity Formation Interventions in Medical Education (Acad Med 2022)

Mount GR, Kahlke R, Melton J, Varpio L. A Critical Review of Professional Identity Formation Interventions in Medical Education. Acad Med. 2022 Aug 9. Epub ahead of print.

背景:プロフェッショナル・アイデンティティ形成(PIF)は、専門職の知識、スキル、価値観、行動と自分の既存のアイデンティティや価値観との統合と定義することができる。PIFに関するいくつかの異なる、時には相反する概念や理論が文献に溢れている。PIFカリキュラムや教育戦略にこれらの異なる理論を適用することは、将来の医師のPIFに大きな影響を与える可能性がある。著者らは、医学教育におけるPIFの介入に関する最近の文献を批判的にレビューし、その根底にあるPIFの概念化および理論的アプローチを探った。

方法:著者らは、2010年から2021年3月までに主要な医学教育専門誌5誌に掲載されたPIF教育介入に関する論文を検索した。論文の文脈と知見を抽出・分析・要約し、PIFの概念化および理論的アプローチを明らかにした。

結果:PIFに影響を与えることを目的とした医学教育介入を検討する43件の研究を同定した。研究の大部分(n = 31)は、卒前医学教育に焦点を当てたものであった。リフレクティブ・ライティングとナラティブ・リフレクションの使用は、PIF介入における学生の主な活動様式であり、PIFに対する支配的な個人主義的アプローチを支持するものであった。PIFが社会化プロセスとして、あるいは個人と社会の両方に焦点を当てた能動的なプロセスとして理解されることは少なかった。

結論:PIFに影響を与えるために選択された介入としてリフレクティブ・ライティングに頼ることは、PIFに関する支配的な個人主義的視点を養うことになる。この個人主義的志向の意図しない結果として、職業に組み込まれた文化的問題が、個々の医師が個人的に負うべき重荷になる可能性がある。PIFに関する今後の教育や研究は、理論的な嗜好とその影響を考慮する必要がある。