医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Rethinking professional identity formation amidst protests and social upheaval: a journey in Africa (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2022)

Mokhachane M, George A, Wyatt T, Kuper A, Green-Thompson L. Rethinking professional identity formation amidst protests and social upheaval: a journey in Africa. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2022 Oct 27. Epub ahead of print.

背景:マイノリティや過去に抑圧されたグループの研究への参加が少ないことは、プロフェッショナル・アイデンティティ形成(PIF)についての現在の普遍的な理解に疑問を投げかけるものである。これは、アパルトヘイト時代の不公平がいまだに蔓延している南アフリカのような社会でこの現象を理解するために極めて重要である。また、社会の激変がPIFにどのような影響を与えうるかを検証したデータもほとんどない。

方法:本研究では、南アフリカを揺るがした2015年から2016年にかけての抗議行動において、学生が同国の民主化移行後も長く続いた権力と特権の非対称性に挑んだ社会的激動の文脈のなかで、医学生へのインタビューを用い、PIFを探っている。南アフリカの社会歴史的文脈とウブントゥ哲学に織り込まれた主著者の自己エスノグラフィック・ストーリーの組み合わせは、南アフリカの文脈におけるPIFの本研究に寄与している。

結果:アフリカの比喩を用いることで、PIFをウブントゥに基づく価値体系の影響を反映したものに方向転換することができた。カラバッシュをメタファーとして、参加者の経験は、カラバッシュの世界観とキャンパスのカラバッシュという2つの方法で枠付けされ、整理された。カラバッシュの世界観は、ウブントゥ、伝統的な子供時代の反映、火成岩としての女性像などの価値観を多次元的に混合したもので、参加者を育てた女性のパワーとPIFへの影響力を認識するものであった。

結論:PIFの談話にアフリカのウブントゥに基づく視点を導入することは、PIFを育むうえで、文脈や地域の現実を認識することを方向転換させる可能性がある。