医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Looking beyond the COVID-19 pandemic: the recalibration of student-teacher relationships in teaching and learning process (Med Educ Online 2023)

Soemantri D, Findyartini A, Mustika R, Felaza E, Arsyaf MA, Alfandy BP, Greviana N. Looking beyond the COVID-19 pandemic: the recalibration of student-teacher relationships in teaching and learning process. Med Educ Online. 2023;28:2259162.

背景:パンデミック後の様々な斬新な教育アプローチやオンラインでの交流を考えると、パンデミック後の"new normal"の教育学習プロセスにおける学生と教師の関係から得られた教訓を明らかにすることは時宜を得たものである。本研究の目的は、COVID-19パンデミック後の教育・学習プロセスにおいて、混乱が学生と教師の関係にどのような力学的影響を及ぼすのか、またその程度を探ることである。

方法:10回のフォーカス・グループに参加した28人の医学教師と35人の医学生の個人的な考察と見解を探るために、質的記述的アプローチを採用した。データは、steps for coding and theorization (SCAT) approachを用いて主題的に分析された。そして、浮かびあがったテーマをさらに分析し、エモーショナル・インテリジェンスに基づく関係性中心のリーダーシップの枠組みに再グループ化した。

結果:特定されたテーマは、教育学習プロセスにおける学生と教師の関係を表す3つの要素を表していた。図の中心である自己は、教師としての自己と学生としての自己の共存する役割で構成され、それはある程度、個人的・プロフェッショナルとしての成長、モチベーション、ワークライフバランスを維持するための葛藤に関連している。真ん中の層は生徒と教師の関係のダイナミズムを表し、教える機会が増えたにもかかわらず、教師と生徒の信頼関係が損なわれていることを示している。このような自己とダイナミックな関係の変化は、外層として描かれる、より広く複雑な医学教育システムの中で起こった。徹底したカリキュラムの改善、内容、新しいスキルが強調された。

結論:われわれの知見は、個人内、個人間、システムの要素を考慮に入れて、学生と教師の関係を再調整する必要性を強調した。パンデミックは、学生のコンピテンシーを育むだけでなく、教師と学生双方のニーズに応え、個人的・プロフェッショナルとしての成長を支援することを通じて、有意義な対人相互関係を育むという教師の役割の目的を再認識させた。