医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

A qualitative study of educators' perceptions of medical student wellbeing in domestic violence training (Med Teach 2023)

Neil JM, Barton C, Hegarty K. Should we be concerned? A qualitative study of educators' perceptions of medical student wellbeing in domestic violence training. Med Teach. 2023 Aug 14:1-7. Epub ahead of print.

背景:ドメスティック・バイオレンス (DV)はオーストラリア社会では一般的であるため、DVの影響を個人的に受けている医学生がいると思われる。このような学生のなかには、DVのトレーニングに直面し、あるいは再トラウマ化する者もいるかもしれない。トラウマ・インフォームド・ケアの原則を活用したトラウマ・インフォームド医学教育(trauma-informed medical education; TIME)の枠組みは、このような学生のリスクを最小限に抑えることができるかもしれない。我々は、オーストラリアのメディカルスクールにおけるDV研修における学生のウェルビーイングに関する教育者の認識を調査することを目的とした。

方法:この記述的質的研究は、解釈主義的方法論とTIMEのフレームワークを用いて、オーストラリアのメディカルスクールでDVを教えた経験のある13人の教育者にインタビューを行った。インタビューデータをテーマ分析し、テーマを特定した。

結果:4つの主要なテーマは、(1) 深いところから放り込まれた教育者、(2) 学生の精神的安全の維持、(3) トラウマに配慮した学習環境、(4) 学生のDV開示の課題、であった。DVに関する研修を受けている参加者はほとんどいなかった。教育者は、生徒の精神的安全性を高めるために、trigger warningsやグランドルールといった方法を用いていた。経験豊富な教育者は、生徒からのDVの開示に対処し、それが役割の混乱につながった。

結論:医学生にDVを教育する際、TIMEの原則を認識し、実践することを含む医学教育者のトレーニングの強化が必要であり、また教育者へのサポートやリソースの強化も必要である。