医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Medical students' views on the value of trigger warnings in education- a qualitative study (Med Educ 2022)

Nolan H, Roberts L. Medical students' views on the value of trigger warnings in education- a qualitative study. Med Educ. 2022 Mar 30. Epub ahead of print.

背景:トリガー警告 (trigger warnings)とは、コンテンツの内容を事前に通知することで、受信者がその後に起こる苦痛に備えることができるというもので、高等教育における議論のなかで取り上げられる。ある状況下での警告に対する学生の期待は認識されており、一部の教育者や教育機関は警告を採用している。医学教育では、苦痛を感じる可能性のあるトピックを扱う必要がある。医学生が教育における警告に対してどのような期待を抱いているかについては、ほとんど知られていない。

方法:4年制の英国MDプログラム学生全員にデジタルメッセージで研究の詳細を連絡し、オープンサンプリングとした。参加者の期待、経験、経験から得られる意味を探るために、質的な方法論が選択された。学生は、教室ベースの医学教育におけるトリガー警告の機能、利点、欠点についての観点を探る半構造化インタビューに参加した。インタビュー記録は、テーマ分析により分析した。

結果:13の半構造化質的インタビューが行われた。1)学生の経験がトラウマとトリガー警告の理解に影響を与える、2)学習経験の媒介としての警告、3)学習における専門家の責任、4)内容への暴露、5)医学教育における専門家の倫理、6)トリガー警告の出し方、の領域におけるテーマが確認された。学生は、「トリガー警告」という言葉を認識しており、警告はトラウマの影響を受けた人への配慮であることを理解していた。警告に関する学生の概念は、教育内外の個人的な経験や仲間との交流から影響を受けていた。学生は、警告の使用と、警告が学習に影響を与えること、責任を負うこと、専門的能力の開発について、支持と懸念の両方を表明した。

結論:警告に関する学生の多様な意見が確認された。ほとんどの学生は、認識されたトラウマに関するトピックの前に警告を使用することを提案した。苦痛を伴う内容には徐々に触れていくことが推奨された。学生は、自身の脆弱性とニーズを管理するためのサポートを受けると同時に、レジリエンスを育むために十分な形成的曝露を経験する必要がある。教育環境と専門家育成を最適化するために、学生と教育者の間で、トラウマの蔓延と影響、警告の根拠についてより深く理解することが望まれる。