医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Academic Medicine Pathways Differ for Underrepresented Trainees and Physicians? A Critical Scoping Review (Acad Med 2023)

Russel SM, Carter TM, Wright ST, Hirshfield LE. How Do Academic Medicine Pathways Differ for Underrepresented Trainees and Physicians? A Critical Scoping Review. Acad Med. 2023 Aug 2. Epub ahead of print.

背景:学術医療は、多様な人材を採用し、維持することの難しさに直面している。医学部生に占めるURiM(underrepresented in medicine)の割合は、一般人口に占めるURiMの割合よりも低く、この数字は学術医療ラダーに進むごとに悪化している。以前は「リーキーパイプライン (leaky pipeline)」として知られていたが、この現象は、URiMの研修生と教員が学術医療において直面するさまざまな構造的障壁を認識する、「穴のあいた経路 (pathways with potholes)」としてよりよく理解されるかもしれない。このクリティカル・スコーピング・レビューでは、現在の文献を分析し、URiMの医師が学術医療において経験する不公平な「経路と甌穴」にどのような変数が寄与しているのかを明らかにした。

方法:著者らは、スコーピング・レビューの方法論と批判的レンズを組み合わせた。包括的な検索戦略では、学術医療、underrepresented groups、学術医療キャリアからの離脱に関する用語を使用した。1名の査読者が、研究チームのメンバーと相談しながら、スクリーニング、全文レビュー、データ抽出を行った。データ抽出は、学術医療における離職、採用、定着など、進路や隘路に関連するテーマに焦点を当てた。テーマは反復的に統合され、この分野への貢献の質と文献のギャップが指摘された。

結果:収録された論文は、離職、採用、定着に分類された。離職に関する論文では、URiM教員は学術的業績をコントロールしても昇進する可能性が低いこと、敵対的な職場環境が離職を悪化させる可能性があることが指摘された。採用・定着戦略は、採用・昇進プロセスの各段階を変えた多面的アプローチが最も効果的であった。

結論:これらの研究は、URiM研修生や教員の学術医療における代表性に影響を与えうる様々な「甌穴」の例を示している。しかし、孤立的で敵対的な職場環境、いわゆる「寒冷な風土」と学術医療からの離職との関連を調べた研究はわずかであった。これらの概念を理解することは、医学における多様性を改善するための最も効果的な介入策を生み出す鍵となる。