医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

A Mixed-Methods Analysis of Gender and Career Status Differences in the Impact of the COVID-19 Pandemic on Underrepresented Postdoctoral Fellows and Early-Career Faculty (Acad Med 2022)

White GE, Proulx CN, Morone NE, Thakar MS, Murrell AJ, Althouse AD, Rubio DM. A Mixed-Methods Analysis of Gender and Career Status Differences in the Impact of the COVID-19 Pandemic on Underrepresented Postdoctoral Fellows and Early-Career Faculty. Acad Med. 2022;97:1824-1831.

背景:生物医学の研究者における人種や民族の多様性の欠如は顕著であり、underrepresented backgroundsを持つ研究者は、多数派の研究者よりも多くの困難に遭遇している。COVID-19パンデミックが若手研究者に与える影響の程度は、まだ十分に理解されていない。本研究では、パンデミックの影響について検討するため、性別とキャリアによる生産性、研究内容、心理的ウェルビーイングの違いを評価した。

方法:本研究は、Building Up a Diomedical Research Workforce研究に登録した220名の参加者から2020年9~10月に収集した介入前データの横断的分析であった。参加者は米国の25の学術医療センターの出身で、underrepresentedなキャリア初期の研究者であった。主要アウトカムは、パンデミックの影響に関する記述(例:「COVID-19パンデミックは私の研究遂行能力に影響を与えた」)に対する5段階リッカート尺度による同意度であった。また、パンデミックの影響を評価する2つの自由形式の質問に対する回答について、テーマ分析を実施した。

結果:参加者の多くは女性(79.9%)、非ヒスパニック/ラテン系/スペイン系の黒人/アフリカ系アメリカ人(33.2%)またはヒスパニック/ラテン系/スペイン系(34.1%)で、キャリア初期教員(53.4%)であった。半数以上の参加者が、COVID-19のパンデミックによって仕事(55.7%)や研究(70.7%)に影響を受けたことに同意または強く同意している。質的な分析から得られたテーマは、研究の生産性の低下、学術的な就職市場や資金調達に関する懸念、パンデミックによる心理的な苦痛を示唆するものであった。女性の方が、生産性の低下や心理的苦痛を家庭学習や育児に起因させる傾向が強かった。博士号取得後の研究者は、少ない職位に対して競争が激しくなることを懸念していた。

結論:COVID-19パンデミックの影響は、性別やキャリアによって異なるが、参加者が広く感じていることがわかった。ポストドクトラルフェローやキャリア初期の教員にとって、教育機関がそのポジションに柔軟性を持たせることは非常に重要である。