医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Equity, diversity, and…exclusion? A national mixed methods study of "belonging" in Canadian undergraduate medical education (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2023)

Sivananthajothy P, Adel A, Afhami S, Castrogiovanni N, Osei-Tutu K, Brown A. Equity, diversity, and…exclusion? A national mixed methods study of "belonging" in Canadian undergraduate medical education. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2023 Aug 10. Epub ahead of print.

背景:公平性、多様性、インクルージョンは依然としてメディカルスクールで重視されているが、「帰属 (belonging)」という現象は間違いなく見過ごされてきた。制度的抑圧や排除に直面している集団出身の医学生が、帰属をどのように経験するかについては、ほとんど知られていない。

方法:我々は、女性、人種差別、先住民、障害者、2SLGBTQIA+など、公平を享受するグループ(equity-deserving groups; EDGs)の学生が、医学部在学中にどのように帰属を経験するかを探るために、逐次説明的混合法デザイン (sequential explanatory mixed methods design)を採用した。

結果:まず、医学生(N = 480)を対象に、帰属、インポスター症候群、バーンアウト抑うつという4つの構成要素を測定する全国横断調査を実施した。帰属のスコアは、EDGsの学生で全体的に低く、特に人種差別のある学生で有意に低かった。構造方程式モデルは、帰属の低さがインポスター症候群に先行し、バーンアウト抑うつをさらに悪化させることを示している。次に、帰属のスコアが有意に低かったEDGの学生(N = 16)を抽出し、インタビューを行った。参加者は、「本当の自分」として存在できること、受容感、快適さ、安全性、評価されること、対等に見られることを重視しながらも、日常的な「他者化」の経験が、社会的アイデンティティの違いや構造的特権のために、帰属を阻害していることを説明した。劣悪な帰属意識は、学習者のウェルビーイングやキャリアの軌道に悪影響を与えた。

結論:我々は、帰属意識の低下に関連する心理的・職業的影響の範囲を明らかにし、従来の公平性、多様性、包摂の概念を拡大し、帰属意識を阻む構造的障壁を考慮する必要性を強調した。