医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Having a Bad Day Is Not an Option: Learner Perspectives on Learner Handover (Acad Med 2023)

Shaw T, LaDonna KA, Hauer KE, Khalife R, Sheu L, Wood TJ, Montgomery A, Rauscher S, Aggarwal S, Humphrey-Murto S. Having a Bad Day Is Not an Option: Learner Perspectives on Learner Handover. Acad Med. 2023 Aug 10. Epub ahead of print.

背景:学習者の引き継ぎ (learner handover)とは、教育に携わる指導者間で学習者に関連する情報を共有することである。この実践により、学習者は以前の評価を基に学習を進めることができ、コンピテンシーに基づく医学教育の成長志向を支えることができる。しかし、学習者の引き継ぎには、将来の評価に偏りが生じたり、学習者の守秘義務に違反したりするリスクもある。学習者の引き継ぎが教育に与える影響についてはほとんど知られておらず、また、知られていることは主に教員や教育機関の見解によるものである。本研究の目的は、学習者の視点から学習者の引き継ぎについて探ることである。

方法:構成主義的グラウンデッド・セオリーを用いて、学習者の引き継ぎに関する学習者の視点と信念を探った。オタワ大学とカリフォルニア大学サンフランシスコ校の医学生とレジデントを対象に、29回の半構造化面接を行った。インタビューは2020年4月から12月にかけて行われた。定比較法を用い、反復プロセスを経てテーマが特定された。

結果:ほとんどの学習者は、正式な引き継ぎと非公式な引き継ぎの両方が行われる可能性がある状況を認識していたが、具体的な学習者の引き継ぎの実践については一般的に認識していなかった。学習者は、学習者の引き継ぎが、教育を調整し、委託や監督の決定を導き、患者の安全をサポートする可能性があることを評価していたが、将来の評価に偏りが生じたり、守秘義務に違反したりする可能性を懸念していた。さらに学習者は、情報共有が自分の教育ニーズに焦点を当てるよりも、むしろゴシップに近いものになることを懸念し、不当な監視や、一度でも共有された平凡な成績が長期的なキャリアに取り返しのつかない結果をもたらすことを恐れていた。このような懸念が、圧倒的なプレッシャーとなった。

結論:学習者は、学習者引継ぎの根拠を認識しながらも、自分のトレーニングや将来のキャリアに短期的・長期的に不慮の影響が及ぶ可能性を恐れていた。学習者の引き継ぎに関する透明性をサポートし、意識を高めるような方針を設計することで、学習や学習者と指導者の関係を脅かす可能性のある意図しない結果を軽減し、学習者の引き継ぎが意図したとおりに学習者に利益をもたらすようにすることができるかもしれない。