医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Peer observation of student-led teaching (Med Teach 2023)

Whittaker E, Pathak A, Piya S, Cary L, Harden J. Peer observation of student-led teaching. Med Teach. 2023 Jul 17:1-4. Epub ahead of print.

背景:医学部におけるnear-peer teachingの利用は国際的に増加している。Peer observation of teaching(POT)は、教育の経験や質を高めるために有用かつ効果的な方法であるが、学生ピアティーチャーにおけるPOTの利用についてはあまり報告されていない。本研究の目的は、POTの価値と限界に関する医学生の認識を探ることである。

方法:10名の医学生が観察者として訓練を受けた。事前に作成したモデルを用いて、他の学生(被観察者)が指導する27の指導セッションを観察し、観察前後にミーティングを行った。観察者と被観察者は、彼らの経験を探るためにアンケートとグループインタビューに回答した。調査データの記述分析と質的データのテーマ分析が行われた。

結果:被観察者は、教育実践について学び、振り返り、自信を深めるうえで、フィードバックが貴重であると感じていた。被観察者は、専門知識、親近感、威圧的でない存在感、対象者への配慮といった点で、フィードバックを受けることに安心感を覚え、肯定的に評価した。観察者は、優れた教育実践についてより多くを学んだと報告した。ほとんどの観察者は楽しいと感じていたが、何人かの観察者はフィードバックを与えることに不快感を感じていた。ほとんどの観察者は、信頼性の欠如や上下関係をなくすことの難しさを挙げ、満足のいくダイナミズムを確立するのは難しいと感じた。既存の友人関係は、観察者にとって助けにもなり、また妨げにもなったと報告された。

結論:観察者も被観察者も、POTの経験から得るものがあった。しかし、観察者は自分の信頼性に自信が持てなかった。医学生の教育実践を改善するために、カリキュラムにPOTを導入する最善の方法をさらに検討すべきである。観察者の懸念を克服するために、さらなるトレーニングやコーチングを行うことも考えられる。