医学教育研究者・総合診療医のブログ

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First-round accreditation and pass rates on licensing examination at different medical schools in China: Closing the performance gap (Med Educ 2023)

You Y, Li M, Xie A, Wang W. First-round accreditation and pass rates on licensing examination at different medical schools in China: Closing the performance gap. Med Educ. 2023 Jul 16. Epub ahead of print.

背景:多くの国で医学教育の質を保証するためにアクレディテーション (accreditation)の手法が広く用いられているが、実際のメディカルスクールのパフォーマンスが向上するかどうか、またどのように向上するかについての実証的証拠は乏しい。我々は、2010年代にアクレディテーション制度を導入した中国の状況に焦点を当てた。具体的には、一次認証評価と実際の成績との関係を医師免許試験の結果に基づいて検証した。組織論 (organization theory)を参照し、アクレディテーションの影響は既存のパフォーマンス・ギャップに依存するという仮説を立てた。

方法:2022年、中国のメディカルスクール105校の認定時(2012年から2021年)と医師免許試験合格率(2011年から2019年)のパネルデータを分析し、認定前後の834 schoo-yearの記録に照合した。認定時期の影響を混同している可能性のある要因を除外するために、比較群を用いた固定効果回帰モデルを採用した。また、メディカルスクールの階層やパフォーマンス・ギャップによって、認証評価の効果が異質であることを示した。

結果:conservativeな推計では、認定前の数年間は合格率の大幅な累積改善(15%ポイント以上)が見られ、認定後の数年間は成績の低下を示す明確な傾向は見られなかった。下位のメディカルスクールほど認定から大きな恩恵を受けた。また、認定前のパフォーマンス・ギャップが大きいメディカルスクールほど、認定前の年月が経過するにつれて、合格率がポイント上昇した。

結論:これは、認証評価によってメディカルスクール間の成績格差が解消されたかどうかを調査した初めての実証研究である。この結果は、最近アクレディテーション制度が確立された中国におけるアクレディテーションの価値を支持するものであり、アクレディテーション制度が長く確立されている国において、初期のアクレディテーション履歴に関する情報が不足している場合の代用として機能する可能性がある。最近アクレディテーション制度を導入した国でのさらなる研究を奨励する。