医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Medical students' rural practice intention: academic performance matters (Med Educ 2022)

You Y, Xie A, Cleland J. Medical students' rural practice intention: academic performance matters. Med Educ. 2022 Aug 11. Epub ahead of print.

背景:多くの国で、医学生を将来の地方での診療に備えさせるための政策や実践が推進されている。これまでの研究では、地方での診療意向と関連する個人的要因(例:地方育ち)および構造的要因(例:カリキュラムへの参加)を調査してきた。しかし、メディカルスクールでの学業成績と地方での実習意向の関係については、最適化理論 (optimization theory)により関係がある可能性が示唆されているものの、これまで顧みられることはなかった。このギャップを解決するために、我々の目的は、学業成績と地方での診療意向との関係を明らかにすることである。

方法:2021年に横断的(自己報告)調査によりデータを収集した。参加者は、中国全土の96のrural order directed(RODs)医学プログラムのうち60の学生であった。学生に地方での診療意向を尋ねた。単変量解析を行い、地方での診療意向と、社会人口学的統計、RODの所在地、学年、学業成績の指標などの独立変数との関連を検証した。また、マルチレベルロジスティック回帰モデルを用いて、他の要因を一定にしたうえで、メディカルスクールでの学業成績が地方での診療意向を予測できるかどうかを検証した。

結果:回答者は12,123人で、60校の学生人口の約77.6%を占めた。メディカルスクールでの学業成績(自己申告)と地方での診療意向との間には、統計的に有意な関係があった。成績優秀者は、地方での診療意向を持つ可能性が低かった(ORs:0.65-0.78)。これは、すべての成績指標(GPAランク、学術賞、学生リーダーシップ)、および地方出身者のサブグループ(ORs:0.68-0.78)においても同様であった。

結論:本研究は、メディカルスクールでの成績と地方での診療意向の関係を明らかにした初めての研究である。本結果は、学生がキャリアの選択肢を選ぶ際に効用を最大化し、成績優秀者は地方での診療意向が低いことを示唆する。これらのデータは、医学生がキャリアを選択する際の複雑さを明らかにするものであり、メディカルスクールや人材計画担当者が地方での研修、採用、定着の戦略を検討する際に活用できるであろう。