Strowd LC, Kelly K, Peters TR, Jackson JM. Student, Faculty, and Coach Perspectives on Why Athletes Excel in Medical School: A Qualitative Analysis. Teach Learn Med. 2022;34:43-59.
背景:メディカルスクールは、厳しいカリキュラムのなかで優秀な成績を収め、将来の医師として成功する志願者を選抜することを使命としている。多くの研究がメディカルスクールでの成功を予測するための入学前の定量的データを評価している一方で、メディカルスクールの成績に影響を与える入学前の定性的要因について評価した研究はあまりない。最近の研究では、少なくとも1年間、collegeのスポーツチームに所属していた医学生は、米国医師免許の試験や臨床実習において、同級生よりも高い成績を収めていることが明らかになった。本研究では、collegeでのスポーツ経験を持つ医学生がメディカルスクールで成功する理由を説明する要因について、医学生、メディカルスクール教員、collegeコーチの見解を探ることを目的とした。
方法:2019年、筆者らは、collegeでの運動経験のある医学生、学生アスリートの教育経験のあるメディカルスクール教員、メディカルスクールに入学した学生アスリートのトレーニング経験のあるcollegeコーチに対して半構造化インタビューを実施した。インタビュー記録は体系的にコード化され、グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析が行われた。参加者は、データの飽和に達するまで募集され、インタビューが行われた。
結果:collegeでの競技経験のある医学生15名、メディカルスクール教員5名、collegeコーチ3名が研究に参加した。「目標設定、目標追求、業績評価」「時間管理、計画、組織化スキルの開発」「チーム価値とチームワークスキルの開発」「コミュニケーションと対人スキルの開発」「ストレスと逆境の受容、対処法、回復力対応」「個人の健康への優先順位」の6つが、メディカルスクールでの成功の重要な要因として特定され、これらのテーマは学生、教員、コーチへのインタビューにそれぞれ登場することがわかった。参加者は、これらの属性とスキルの間に意味があることを説明し、学生がこれらの属性を開発し、伝達し、適用することが相互に関連していることを示唆した。
結論:本研究では、collegeでの運動経験を持つ医学生の学業面での成功は、college時代に培われた特定のスキルや属性に起因するものであることが示された。グラウンデッド・セオリーによるライフスキル移転モデル (life skills transfer model)は、これらの属性やスキルがcollegeからメディカルスクールの環境に移転することを説明することができる。社会学、教育心理学、スポーツ心理学、医学教育の文献から得られた理論的枠組みと実証的研究結果は、なぜこれらのスキルと属性がメディカルスクールの学生アスリートに成功をもたらすのかを理解するのに役立つレンズを提供する。これらの知見は、すべての医学生が学問的に成功するための能力開発に関する重要な洞察を提供するものである。