Rashid MA. Altruism or Nationalism? Exploring Global Discourses of Medical School Regulation. Med Educ. 2022 Apr 2. Epub ahead of print.
背景:メディカルスクール規制はいたるところで行われているが、どの程度までグローバルな原則に基づくべきかは不明である。2010年、the Educational Commission for Foreign Medical Graduates (ECFMG)は、2023年以降、海外の医師は「公認」機関から認定されたメディカルスクールを卒業した場合のみ、米国で働くための資格を得ることができると発表した。この政策により、the World Federation for Medical Education (WFME)は、メディカルスクール規制を支持する経験則がないにもかかわらず、世界中の規制機関のための承認プログラムを作成する権限を与えられた。
方法:本研究では、ミシェル・フーコーとエドワード・サイードの理論的視点を用いた批判的言説分析を行い、この「グローバル化」する方針決定を可能にした言説を明らかにするものである。データセットには、1988年のWFMEによるエジンバラ宣言、2003年のWFMEによるメディカルスクールに関する最初の世界基準、2010年のメディカルスクール認証に関するECFMGの裁定という3つの重要な出来事に関連して集められた一連の文書250件が含まれている。
結果:この間、「承認 (endorsement)」と「近代化 (modernisation)」という二つの言説が支配的であり、利他主義 (altruism)と世界の医学教育の改善という観点から、メディカルスクール規制のグローバル化の動きを枠付けしていた。抵抗の言説は、本研究の初期には存在したが、2010年以降、WFMEがECFMGと連携するにつれて、薄れていった。さらに、保護 (protection)と支配 (control)という2つの言説が本研究の後期に出現し、ナショナリズムとアメリカの利益を守るという観点からECFMGの裁定を縁取った。
結論:本研究は、ECFMGとWFMEの関係について、利他主義とナショナリズムという一見矛盾した方針動機に照らして、新しい概念化を提案するものである。さらに、この関係が、世界のメディカルスクールを代表する組織としてのWFMEの正当性にどのような影響を与えるかを考察した。