医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Students with global experiences during medical school are more likely to work in settings that focus on the underserved: an observational study from a public U.S. institution (BMC Med Educ 2021)

Slifko SE, Vielot NA, Becker-Dreps S, Pathman DE, Myers JG, Carlough M. Students with global experiences during medical school are more likely to work in settings that focus on the underserved: an observational study from a public U.S. institution. BMC Med Educ. 2021;21:552.

背景:過去20年間、医学生の間でグローバルヘルスへの関心が高まっており、ほとんどのメディカルスクールでグローバルヘルスの機会が設けられている。メディカルスクールでグローバルヘルスのelectiveを履修することで、underserved populationsと臨床的または研究的に協働する可能性が高まることが示唆されている。本研究では、メディカルスクールのグローバルelectiveを履修することが、その後、米国でグローバルヘルスやunderserved populationsと仕事をすることとの関連性を評価することを目的とし、さらにメディカルスクール入学前の学生の興味や経験を考慮した。また、回答者がグローバルelectiveから得られる利益を認識しているかどうかについても検討した。

方法:米国の大規模な公立メディカルスクールの医学部卒業生(2011年~2015年のクラス)を対象に、現在の診療環境と過去のグローバルヘルスの経験について調査した。American Medical College Application Service(AMCAS)のデータを用いて、メディカルスクール入学前の仕事、ボランティア、教育経験、社会経済的地位、人種・民族を評価した。学生の経歴、メディカルスクールでのグローバルヘルスelectiveの履修、現在の米国でのグローバルヘルスやunderserved populationsとの仕事との関連を評価した。

結果:卒業後5~8年の間に、161名の回答者のうち78%が、グローバルヘルスまたは米国内のunderserved populationsに焦点を当てた仕事、研究、または教育を行っていると報告した。
メディカルスクール在学中にグローバルヘルスのelectiveを履修したこと (p = 0.0002)、または研修期間中にグローバルヘルスのelectiveを履修したこと (p = 0.06)は、現在、米国のunderserved populationsと仕事をしていることと正の相関があり、メディカルスクール入学前の経験はわずかな相関しかなかった (p = 0.1)。メディカルスクール入学前の経験を調整すると、メディカルスクール在学中にグローバルヘルスのelectiveを履修することは、underserved populationsと仕事をするprevalenceが22%高くなることと関連していた。グローバルなelectiveから得られる利点としては、文化的認識、言語能力、公衆衛生と研究のスキル、および技術的に制限された環境で実践する能力の向上が挙げられた。

結論:学生時代にグローバルelectiveに参加したメディカルスクール卒業生は、メディカルスクール入学前の経験とは無関係に、underserved populationsと関わる仕事に就く可能性が同世代の卒業生よりも高かった。我々は、メディカルスクールがグローバルヘルスの経験を提供することで、卒業生の関心とスキルを高めることができ、米国および海外のunderserved populationsと仕事をする可能性を高め、準備を整えることができるという仮説を立てた。