医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Medical students' perception of their 'distance travelled' in medical school applications (Med Educ 2023)

Ellsworth BL, Solano QP, Evans J, Bidwell SS, Byrnes M, Sandhu G. Medical students' perception of their 'distance travelled' in medical school applications. Med Educ. 2023 Jul 23. Epub ahead of print.

背景:メディカルスクールでは、志願者を総合的に審査する際に、その志願者がこの時点に至るまでに移動した距離を審査している。AAMCの定義によると、移動距離(distance travelled; DT)とは、「この時点に至るまでに克服してきた障害や苦難、あるいは直面し克服してきた人生の課題」である。医学生が自分の移動距離として何を考えているかは、これまで調査されてこなかった。著者らは、現役医学生に、メディカルスクール入学までの道のりで遭遇した障壁や促進要因とともに、DTの経験を共有してもらうことで、医学生が、メディカルスクール入試において、その人の「移動距離」を評価する際に考慮すべき重要な要素を特定することを試みた。

方法:著者らは、合目的的サンプリング法により、米国の医学生を対象に半構造化インタビューを行った。社会生態学的モデル・フレームワークを用いて、参加者の移動距離の要因となった経験を引き出すための質問を作成した。インタビューは2021年に実施され、時間は60~75分であった。書き起こされたインタビューは、解釈的記述を用いて質的に分析された。

結果:7つのメディカルスクールから合計31人の医学生が研究に参加した。全体として、参加者は、志願者が経験した苦労(例:家族の主たる介護者であること)や特権(例:医師の両親を持つこと)を移動距離と定義した。3つの主要なテーマが特定された: (1)個人レベルの特徴と要因、(2)対人関係、(3)参加者の地域と社会の側面。

結論:我々の調査結果は、メディカルスクール志願者がDTを全人的なメディカルスクール入学プロセスの貴重な要素であると考えていることを示している。参加者のDTの経験は多様で複雑であった。我々の研究は、メディカルスクール入学チームは、メディカルスクール志願者の多様なアイデンティティと経験を正確に捉え、メディカルスクール入学までの道のりを形作る要因を考慮するために、より包括的な募集方法と包括的な方法論の枠組みを取り入れるべきであることを示唆している。