医学教育研究者・総合診療医のブログ

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A cross-sectional study of student empathy across four medical schools in Denmark-associations between empathy level and age, sex, specialty preferences and motivation (BMC Med Educ 2022)

Assing Hvidt E, Søndergaard J, Wehberg S, Hvidt NC, Andersen CM. A cross-sectional study of student empathy across four medical schools in Denmark-associations between empathy level and age, sex, specialty preferences and motivation. BMC Med Educ. 2022;22:489.

背景:専門職としての共感性は、患者や臨床家のさまざまなポジティブな転帰と関連しており、したがって将来の医師にとって育成することが重要であると考えられている。Jefferson Scale of Empathy (Student version) (JSE-S) を用いて医学生の共感度スコアの変化を測定したところ、様々な結果が得られている。これまでのところ、デンマーク医学生の共感能力の発達に関する調査は行われていない。そこで本研究の目的は、デンマーク医学生における共感スコアと、メディカルスクール、カリキュラム年、年齢、性別、同居、親の有無、専門科の希望、将来の職業として医学を選択した動機との関連を検討することであった。

方法:本調査は横断的な質問紙調査である。2020年10月にデンマークの4つのメディカルスクールの1年、3年、6年の全医学生(N = 4,178)を対象に調査への参加を呼びかけた。JSE-S総スコアと上記の説明因子との関連を単変量および多変量線形回帰モデルによって分析した。

結果:JSE-Sは672名の医学生に記入された。全体の平均得点は112.7点であった。メディカルスクール、1年生、3年生、6年生、年齢層、parental statusによる共感度の統計的有意差はみられなかった。女子学生および配偶者やパートナーと同居している学生は、男子学生および一人暮らしの学生よりもJSE-Sの得点が高く、その性差は多変量回帰においても統計的に有意なままであった。一変量および多変量解析のいずれにおいても、将来の専門分野への志向は統計的に有意であり、外科系を選択する学生ほどスコアが低下した。動機づけ要因は、共感度と統計的に有意な関係はなかったが、動機づけ要因の1つである「個人的な経験」については、わずかに上昇傾向がみられた。

結論:全体として、我々の結果は、デンマーク医学生のカリキュラムの年度をまたいで、共感スコアが減少も増加もせず、むしろ安定していることを示し、医学生の共感能力の発達の混合図に加えるものであった。我々の結果は、国際的な研究で発見された、共感スコアと高年齢、女性性、精神科や総合診療科への専門選択、入学を選択した利他的動機との正の関連と一致している。専門分野嗜好は医学教育中に変化するが、個々の学生の共感レベルの予測因子として有意義に利用できる可能性がある。