医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Eleven years of data on the Jefferson Scale of Empathy - medical student version: Japanese norm data and tentative cutoff scores (BMC Med Educ 2023)

Kataoka HU, Tokinobu A, Fujii C, Watanabe M, Obika M. Eleven years of data on the Jefferson Scale of Empathy - medical student version: Japanese norm data and tentative cutoff scores. BMC Med Educ. 2023;23:81.

背景:JSE(Jefferson Scale of Empathy)を用いて医学生の共感力を調査する研究が増えている。しかし、日本人の医学生に対するJSEの基準データやカットオフスコアは存在しない。そこで本研究では、日本の医学部新入生の11年間のデータを用いて、日本語訳JSE-医学生版(JSE-S)の基準データおよび暫定的なカットオフスコアを検討した。

方法:2011年から2021年に日本の医学部に入学した学生1,216名(男性836名、女性380名)を対象とした。JSE-S質問票はプログラム開始前に参加者に実施された。データは記述統計学でまとめ、統計的検定を行い、男子学生と女子学生に分けて基準データと暫定的なカットオフスコアを表示した。

結果:JSE-Sの得点分布は、サンプル全体で中程度の歪みとレプトカーティックを示し、指数はそれぞれ-0.75と4.78であった。全参加者の平均点(標準偏差)は110.8点(11.8)であった。女性は男性(110.0;p<0.01)より有意に高い平均スコア(112.6)であった。性差の効果量推定値は0.22であり、effect sizeは小さいことが示された。また、男性の低得点は≦91、高得点は≧126であり、女性の対応する得点は≦97、≧128であった。

結論:本研究は、日本の医学部新入生を対象としたJSE-S基準データと暫定的なカットオフスコアを提供し、共感力を高めるためにさらなる訓練が必要な学生の特定に役立つと思われる。