医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Comparing the stress response using heart rate variability during real and simulated crises: a pilot study (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2023)

Peabody J, Ziesmann MT, Gillman LM. Comparing the stress response using heart rate variability during real and simulated crises: a pilot study. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2023 Jul 11. Epub ahead of print.

背景:医療従事者は緊急事態に対応する際、しばしばストレスを経験する。ストレス反応として知られているのは、心拍変動の測定可能な低下である。現在のところ、危機シミュレーションが実際の臨床緊急事態と同様のストレス反応を引き起こすことができるかどうかは不明である。われわれの目的は、医療訓練生が緊急事態をシミュレーションした場合と実際の緊急事態の場合の心拍変動の変化を比較することである。

方法:19人のレジデントを登録し、単一施設で前向き観察研究を行った。心拍変動は、2誘導心拍モニター(Bodyguard 2, Firstbeat Technologies Ltd)を用いて、24時間クリティカルケアコールシフト中に装着し、リアルタイムで測定した。データはベースライン時、危機シミュレーション時、医療緊急事態対応時に収集された。

結果:参加者の心拍変動を比較するために57回の観察が行われた。各心拍変動指標は、ストレスに反応して予想通りに変化した。N-N間隔の標準偏差(SDNN)、N-N間隔の二乗平均平方根標準偏差(RMSSD)、50ms以上異なる連続R-R間隔の割合(PNN50)、Low Frequency (LF)とLow Frequency: High Frequency ratios (LF:HF)において、ベースライン時と医療緊急事態のシミュレーション時との間に統計学的に有意な差が観察された。どの心拍変動指標においても、シミュレーションと実際の緊急医療との間に統計的に有意な差は確認されなかった。

結論:我々は客観的な結果を用いて、シミュレーションが実際の医療緊急事態と同様の心理生理学的反応を引き起こす可能性があることを示した。したがって、シミュレーションは、安全な環境で必要なスキルを練習するための合理的な方法であるだけでなく、医学訓練生に現実的な生理的反応を生じさせるという利点もある。