医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Stress responses in high-fidelity simulation and standard simulation training among medical students (BMC Med Educ 2023)

Barbadoro P, Brunzini A, Dolcini J, Formenti L, Luciani A, Messi D, Papetti A, Ponzio E, Germani M; Starlab Working Collaborative Group; Adrario E. Stress responses in high-fidelity simulation and standard simulation training among medical students. BMC Med Educ. 2023;23:116.

背景:シミュレーションは、スキルおよび患者の安全性と転帰を改善することができるヘルスケア教育のシフトとして認識されている。重要な医療状況の高忠実度シミュレーションは、予期せぬ感情的反応につながる学生の能力を妨げる可能性があり、参加者のストレス源となりうる。本研究の目的は、高忠実度シミュレーション(high-fidelity; HF)と手続き型シミュレーション(PS)という2つのシミュレーション方法が、自己認識レベルおよび生体レベル(唾液中コルチゾール変動)のストレス反応と関連するかどうかを明らかにし、2種類のシミュレーション方法によるストレスレベルを比較することである。また、コルチゾール総ホルモン出力と関連する独立変数を見出したいと考えた。

方法:アンケート調査の実施、シミュレーション前後の唾液コルチゾールサンプルによるバイオマーカー評価を含む準実験的before-after studyを用いた。合計148名の学生が対象で、研究への参加に同意した。HFとPTの両シミュレーションについて、ペアT検定を用いて、状態判断不安の平均値を比較した。NASA-TLXについては、グループ間のT-test平均値比較を行った。コルチゾール分析については、ペアのT-testの平均値比較を用いた。多変量線形回帰を用いて、AUCg値および知覚ストレスに関連する変数を評価した。

結果:STAI-Yスコアの値は、HFとPSセッションの終了時に相対的に高くなった。NASA-TLXは、PSシミュレーションに対して、HFシミュレーションの方がベースライン時に有意に高かった。コルチゾール倍数増加量は2群間で有意に異なった。線形回帰の結果、両群ともコルチゾールAUCgはSTAI-Yスコアと関連していた。

結論:参加学生は、HFおよびPS訓練後にストレス反応を示し、心理学的および生物学的な出力が証明された。我々の結果によると、ストレスレベルは、要求されるタスクの本質的な複雑さよりも、単にシミュレーションシナリオの中にいることで上昇することがわかった。この傾向を確認し、長期的な学習シナリオにおける模擬ストレス反応の役割を明らかにするために、さらなる研究が必要である。