医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Past resources, future envisioning, and present positioning: how women who are medical students at one institution draw upon temporal agency for resistance (Adv Health Sci Educ Theory Pract 2023)

Konopasky A, Wyatt TR, Blalock AE. Past resources, future envisioning, and present positioning: how women who are medical students at one institution draw upon temporal agency for resistance. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2023 Jul 10. Epub ahead of print.

背景:メディカルスクールに入学した女性は、家父長制 (patriarchal system)に直面する一方で、他の女性たちとの共同体に入り、抵抗の可能性も秘めている。本研究の目的は、時間的主体性 (temporal agency)の理論を用いて、女性であることを自認する医学部1年生が、家父長制的な医療制度に抵抗するために、過去、未来、そして現在の主体性をどのように活用しているかを探ることである。

方法:本研究のデータは、卒前医学教育における女子学生の社会化を理解するためにナラティブ・インクワイアリーを用いた縦断的プロジェクトの初年度(2020年10月~2021年4月)から抽出した。15人の参加者が、幼少期とメディカルスクールでの経験について、2回のインタビューと一連の振り返りプロンプトをそれぞれ約45分間行った。

結果:参加者の抵抗は、過去の資源を利用し、自らを他者として認識することで、所属する教育機関の外でも、より広範な抵抗共同体の一部として自らを分類的に位置づけることに貢献した。彼らはまた、抵抗の一環として、未来の可能性を仮定した。それは、自分たちが権力を行使する理想的な未来か、変化のない未来か、そしてそれを管理するために使う仮定の解決策であった。最後に、彼らは現在において過去と未来を文脈化し、戦略的決定と行動実行のための問題を特定した。

結論:時間的主体性、共同体的主体性 (communal agency)、抵抗という概念を創造的に織り交ぜることで、彼女たちが、メディカルスクールという階層的で家父長制的な構造のなかで、より大きな女性集団の一員として自分たちをどのように考えているのか、また、時にはこうした階層を内面化しているのか、というニュアンスに富んだ絵を描くことができる。