医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Practical wisdom in medicine through the eyes of medical students and physicians (Med Educ 2023)

Kaldjian LC, Yoon J, Ark TK, Shinkunas L, Jotterand F. Practical wisdom in medicine through the eyes of medical students and physicians. Med Educ. 2023 Apr 29. Epub ahead of print.

背景:実践的な知恵 (practical wisdom)は、医学と永続的な関連性を持つ多次元的な美徳と考えられている。近年、実践的な知恵が注目されているが、実践的な知恵の枠組みは様々であり、医学生や医師がその次元や関連性をどのように表現するかについては、ほとんど知られていない。

方法:医学生と医師が実践的な知恵をどのように理解し、どのような臨床場面で実践的な知恵が必要だと考えているかを明らかにするために、自由形式と閉鎖形式の質問を用いた構造化面接を実施した。2021年に米国の2つのメディカルスクールで、臨床前の医学生40名と臨床の医学生40名からなる任意回答サンプルと、指名された医師22名からなる合目的的サンプルで、102名の参加者にインタビューを実施した。インタビューは、構造化されたインタビューガイドを使用してビデオ会議で行われた。自由形式の回答は、質的内容分析(指示型と従来型)を用いてコード化され、集計され、closed-ended responsesは集計された。引用は質的な説明のために、頻度は総括的な結果のために使用された。

結果:参加者は、実践的な知恵は臨床的に有意義で、広く関連し、多次元的であると考えた。多くの参加者は、実践的な知恵を、熟慮に基づくもの、目標に向かうもの、状況に応じたもの、倫理と統合されたもの、誠実さと行動への動機付けを特徴とするもの、と説明した。また、多くの人が、経験に基づくもの、人を中心としたもの、問題解決のためのものであると述べていた。また、参加者は、医療における実践的な知恵に不可欠なものとして、平均15.6(SD = 4.9)の美徳を追加で選択し、医療における実践的な知恵を必要とする幅広い臨床状況について説明した。

結論:参加者は、実践的な知恵を、熟慮を伴う多次元的な能力であり、他の美徳の組み合わせに依存し、医療に広く適用されるものであると説明した。また、多くの参加者は、実践的な知恵は、目標に向かうものであり、状況に応じて変化し、倫理観、誠実さ、動機づけを伴うものであるとした。医学教育において実践的な知恵を教える努力は、その次元を明確にし、徳の倫理、プロフェッショナリズム、臨床判断、人としての患者の個別ケアとの関係を強調すべきである。