医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Learner handover: Perspectives and recommendations from the front-line (Perspect Med Educ 2020)

Gumuchian ST, Pal NE, Young M, Danoff D, Plotnick LH, Cummings BA, Gomez-Garibello C, Dory V. Learner handover: Perspectives and recommendations from the front-line. Perspect Med Educ. 2020;9:294-301.

背景:現在の医学教育モデルでは、学習者の長期的な進歩を記録するために、縦断的な評価を行うことが多くなっている。学習者の成長をサポートし、移行を容易にするために、指導者、ローテーション、教育段階を超えて評価を共有することである。著者らは、臨床指導者の間で学習者の引き継ぎを成功させるための意見、経験、および推奨事項を調査した。

方法:1つの教育機関の5つの卒後医学教育プログラムの臨床指導者が、学習者の引き継ぎに関する意見、特に潜在的な利点、リスク、および実施のための提案について、オンラインアンケートに回答した。調査項目には、自由形式と数値による回答が含まれていた。著者らは、自由形式のアンケート回答の分析には帰納的な内容分析のアプローチを用い、数値データには記述的および相関的な分析を用いた。

結果:72名の参加者がアンケートに回答した。参加者の視点は様々であった。学習者による引き継ぎの利点としては、学習者に合わせた学習、評価の向上、患者の安全性の向上などが挙げられた。主なリスクとして報告されたのは、学習者の引き継ぎによって指導者の学習者に対する認識にバイアスが生じ、それによって将来の評価の妥当性に影響が出たり、学習者の教育機会やwell-beingに影響が出たりする可能性であった。参加者からの提案は、誰が関与すべきか、いつ、誰に対して行うべきか、共有すべき内容に焦点を当てたものであった。

結論:学習者の引き継ぎに関する様々な意見や提案は、潜在的な害を最小限に抑えつつ、学習の可能性を最大限に引き出すために引き継ぎが必要であることを強調している。指導者が提案した引き継ぎの実施方法は、学習のための評価と学習の評価の間の緊張関係を明らかにしている。