医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Medical students' learning experience and participation in communities of practice at municipal emergency care units in the primary health care system: a qualitative study (BMC Med Educ 2022)

Giske S, Kvangarsnes M, Landstad BJ, Hole T, Dahl BM. Medical students' learning experience and participation in communities of practice at municipal emergency care units in the primary health care system: a qualitative study. BMC Med Educ. 2022;22:427.

背景:医学教育は、社会、医療、技術の変化に適応していないとの批判がある。国際的には、患者数の増加に対応するためにプライマリー・ヘルスケア・サービスを強化することが必要である。ノルウェーでは、プライマリー・ヘルスケア・システムのなかで、救急医療患者が自治体の救急治療室で治療されることが増えている。本研究では、プライマリー・ヘルスケア・システムにおける2つの自治体の救急治療室で、医学生がどのように学習体験をし、communities of practiceに参加したかを調査するものである。

方法:この質的研究では、2019年3月から5月にかけて、自治体の救急医療施設で2週間のクラークシップを受けている9学期制の医学生6名の半構造化個別インタビューと系統的観察を用いてデータを収集した。インタビュー記録は社会構成主義的アプローチでテーマ分析を行った。テーマ分析から得られた知見をtriangulationするために、合計102の系統的観察を用いた。

結果:以下の3つのテーマが、医学生が何を学び、どのようにしてcommunities of practiceに参加したのかを表現していた。(i)救急患者を担当しながら医師の共同診療に参加し、医師としての役割について集中的な訓練を受けた。(ii)多職種間の連携における医師の役割を学んだ。看護学生や看護師との協働により、臨床手技のトレーニングや看護師の役割、業務内容、community of practiceへの洞察が得られた。(iii)時間を割いて考察を共有することで、より深い知識を得ることができた。看護学生、看護師、医師が参加することで、倫理的、医学的なトピックが多職種の視点から解明された。

結論:救急患者を担当し、医師と看護師のcommunities of practiceに関わる複数の業務や臨床処置に参加することで、医学生が医師の役割を学ぶクラークシップの一形態であったことが示唆された。professional reflectionsを行うために多職種のcommunity of practiceに参加することは、医療と看護の観点から倫理的・医学的トピックに関する深い知識の獲得に貢献した。