医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Social justice in medical education: inclusion is not enough-it's just the first step (Perspect Med Educ 2022)

Machado MB, Ribeiro DL, de Carvalho Filho MA. Social justice in medical education: inclusion is not enough-it's just the first step. Perspect Med Educ. 2022 May 23. Epub ahead of print.

背景:世界のメディカルスクールでは、vulnerable social groupsからの入学者を増やすためにインクルージョン・ポリシーを策定している。本研究では、vulnerable social groups出身の医学生が医学界に加わる際に、どのように所属感を経験するのかを探る。

方法:本研究は、アファーマティブ・ポリシーによってあるメディカルスクールに入学した医学生へのインタビュー10件にテーマ分析を適用した。社会経済的・人種的背景を考慮し、学生が研修中に経験した困難な状況を表現したrich pictureを描いてもらった後、インタビューを行った。分析は、Communities of Practiceのフレームワークで説明されている帰属の様式 (engagement, imagination, and alignment)に導かれたものとした。

結果:参加者は、人種的・社会的差別を経験していることに加え、医療環境との同一性がなく、低い自尊心に苦しんでいるため、将来の医師としての自分を想像することに苦労している。また、経済的なハンディキャップや大学からの十分なサポートが得られないため、社会的・職業的な活動を行うことが困難であることがわかった。しかし、参加者は公的医療制度の価値観に強く共感し、患者に対して深い共感を示している。

結論:社会経済的、人種的に異なる背景を持つ学生を受け入れることは、医療文化を改革する機会を提供する。医学教育者は、学生の自尊心を高め、彼らが医学界にもたらす貢献を明示するような活動を通じて、学生の社会化を支援する戦略を考案する必要がある。