医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Race, ethnicity, and gender representation in clinical case vignettes: a 20-year comparison between two institutions (BMC Med Educ 2022)

Lee CR, Gilliland KO, Beck Dallaghan GL, Tolleson-Rinehart S. Race, ethnicity, and gender representation in clinical case vignettes: a 20-year comparison between two institutions. BMC Med Educ. 2022;22:585.

背景:医療症例ヴィネット (medical case vignette)は医学生教育に長年使用されており、人種、民族、性別などの人口統計学的変数が頻繁に含まれている。しかし、文脈なしに人口統計学的変数を含めると、思い込みや偏見が強化される可能性がある。しかし、人種、性的指向、健康の社会的決定要因が含まれていない場合、文化的盲点を反映した隠れたカリキュラムが強化される可能性がある。この再現研究では、人種、民族、性別の比率をミネソタ大学(UMN)の調査結果と比較した。この研究は、症例ヴィネットにおける人口統計学的特性の表現に進歩があったかどうかを判断することを目的としている。

方法:2015年から2016年のノースカロライナ大学(UNC)の症例ヴィネットを分析し、1996年から1998年のUMNの症例ヴィネットと比較した。データには、人種、民族、性別、健康の社会的決定要因についての言及が含まれていた。

結果:UNCの278のヴィネットでは、白人の人種は19.7%、黒人の人種は7.9%のケースで言及され、76.6%のケースは特定されていない。UMNの983件のヴィネットでは、白人種は2.85%、黒人種は0.41%で記録されていた。各機関は、人種を描写する割合に有意な差があった(0.20;95%CI (0.15, 0.25))。また、男性が大半のヴィネットに描かれていた。

結論:2つのメディカルスクールの症例ヴィネットの結果を比較すると、明示的な人口学的多様性の報告に有意な差はなかったことが示唆された。また、性別は一貫して男性の割合が高いことが示された。これらの結果から、医学生教育においては、健康の社会的決定要因と交差する文化的多様性の拡大が必要であることが示された。