医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Residency training experiences of residents with children: A phenomenological study (Med Educ Online 2022)

Boschee E, Zaeem Z, Amin A, Moniz K, Rashid M. Residency training experiences of residents with children: A phenomenological study. Med Educ Online. 2022;27:2079395.

背景:近年、卒後研修中の子育てがますます重要なテーマとなってきている。これまでの研究では、調査や限定的な質的研究を通じて、子育て中のレジデントの経験を探ることが試みられてきたが、これらの子育て中のレジデントの卒後研修経験に関する深い理解は明確にはされていない。また、子育てをしながら研修を修了する研修生を支援する最適な方法は、依然として不明である。本研究の目的は、子育て中のレジデントの研修経験を深く理解することであった。

方法:我々は、15回の半構造化電話インタビューを実施した。研究対象者は、大規模な研究集約型大学の9つの異なるプログラムに所属する卒後研修生で、レジデント入職時に親であったか、レジデント研修中に親になった者であった。質的研究方法として、ライフコース理論に導かれたtranscendental phenomenologyが用いられた。

結果:レジデントの研修経験をテーマ分析した結果、以下のテーマが明らかになった:1)レジデントとしての責任を持ちながら親であることの課題、2)仕事と生活のバランス、3)サポートシステム、4)患者との交流への影響、5)他の交流への影響、6)暗黙の期待。参加者は、子育て中のレジデントの研修経験を改善するための実行可能な解決策を提案し、その内容は以下の通りであった。1)家族参加型のイベント、2)柔軟なスケジュール設定、3)父親へのサポート、4)母乳育児中の母親へのサポートの最適化。

結論:子育て中のレジデントは、ユニークな卒後研修生集団である。レジデントのwellnessが重視されているにもかかわらず、子育てと研修の両立を試みる人々には課題が残されている。本研究のデータは、これらのレジデントの研修経験を最適化するための支援や戦略に活用されるかもしれない。