医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Limited health literacy in primary care physiotherapy: Does a physiotherapist use techniques to improve communication? (Patient Educ Couns 2023)

van der Scheer-Horst E, Rutten G, Stortenbeker I, Borkent J, Swormink WK, Das E, Staal JB, van Lankveld W. Limited health literacy in primary care physiotherapy: Does a physiotherapist use techniques to improve communication? Patient Educ Couns. 2023 Jan 9;109:107624. Epub ahead of print.

背景:医療従事者は、ヘルス・リテラシー(HL)の低い患者に対応する際、コミュニケーションを工夫する必要があることが研究により示されている。しかし、理学療法士が推奨されるコミュニケーション技法をどの程度適用しているかは不明である。

方法:我々は2段階混合研究法を実施した。まず、理学療法士と患者の相互作用におけるコミュニケーション調整の必要性を探るために、患者とコミュニケーションの専門家とのフォーカスグループインタビューを実施した。次に、プライマリ・ケアの理学療法士による診察の音声記録を手動でコーディングし、理学療法士がこれらの推奨コミュニケーション技法をどの程度適用し、低学歴の患者に対してコミュニケーションを調整しているかを調査した。

結果:フォーカスグループインタビューにより、ティーチバック法、医学用語の説明、患者の語りの要約、患者の理解度の確認という4つのコミュニケーション要素が特定された。50の音声記録から2670の文節が確認された。我々は、推奨されたコミュニケーション技法があまり利用されていないことを発見した。すなわち、ティーチバックは2%(95%CI:0.4%-10.5%)、専門用語説明は84%(95%CI:71.5%-91.7%)で使用された。混合効果ロジスティック回帰モデルでは、低学歴とコミュニケーション技法との関連は認められなかった。

結論:理学療法士は低学歴の患者に対してコミュニケーションを調整する必要があるが、推奨されるコミュニケーションテクニックを適用することはほとんどない。理学療法士のHL制限に関する知識を高める必要がある。