医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Ambivalent professional identity of early remedial medical students from Generation Z: a qualitative study (BMC Med Educ 2022)

Hayashi M, Karouji Y, Nishiya K. Ambivalent professional identity of early remedial medical students from Generation Z: a qualitative study. BMC Med Educ. 2022;22:501.

背景:医学生が入学後数年間、再履修 (remediation)を行う際のプロフェッショナル・アイデンティティの発達を支援することは、重要なテーマである。しかし、学習者のアイデンティティを対象とした、効果的かつ個別的な再履修成功のためのプロセス開発に関する研究は不足している。本研究では、プロフェッショナル・アイデンティティ形成というレンズを通して、ジェネレーションZのリメディアル医学生アイデンティティを、彼らが直面した困難と求めたサポートに焦点を当てながら検討した。

方法:探索的質的ケーススタディ構成主義パラダイムで実施した。本研究には、医学部入学後数年の間に再履修を経験した22名の医学生(男性14名、女性8名)が参加した。参加者は全員、ジェネレーションZのメンバーであった。質的データは、対面式の半構造化インタビューによって収集され、テーマ分析によって分析された。

結果:最初の数年間は、医学生は医学部入学後に経験した理想と現実のギャップによる葛藤や、医療職への抵抗を経験した。学生のプロフェッショナル・アイデンティティは、大学入学前のアイデンティティと密接に絡み合っており、このことが大学入学後のプロフェッショナル・アイデンティティの形成過程に影響を及ぼしていた。また、プロフェッショナル・アイデンティティの形成には、前提条件として守秘義務の保証を好み、すぐにソーシャルネットワークを通じて助言を求める傾向がみられた。

結論:最初の数年間に再履修するZ世代医学生に対するプロフェッショナル・アイデンティティ開発支援を計画する際には、統合的なインタラクションの方法を慎重に選択し、個々の学習者の文脈に注目し、学生と教員が共同で具体的な対応策を検討することが必要であると思われる。本研究の結果は、今後の医学部再履修生に対するプロフェッショナル・アイデンティティ開発およびメンタリングに焦点を当てた支援システムを開発するうえで、教員にとって有用であると思われる。