Atherley A, Teunissen P, Hegazi I, Hu W, Dolmans D. Longitudinal exploration of students' identity formation during the transition from pre-clinical to clinical training using research poetry. Med Educ. 2022 Dec 2. Epub ahead of print.
背景:移行 (transition)は、成長、あるいは苦悩をもたらしうる重要な時期である。移行は社会文化的なプロセス (sociocultural process)であるが、実践や研究における移行へのアプローチのほとんどは、新しいトレーニング段階に入る際の社会的または発達的な側面を探求していない。Wengerは、新参者 (newcomers)が変化に対応する際には、アイデンティティの発達が重要であることを思い起こさせる。本論文では、Wengerのidentificationのモードである「関与 (engagement)」「想像 (imagination)」「調整 (alignment)」を用いて、前臨床訓練から臨床訓練への移行期における学生のアイデンティティ開発(学生として、プロフェッショナルとして)を探求する。
方法:医学部2年生9名を対象とし、臨床実習が始まる3ヶ月前から9ヶ月間にわたってオーディオダイアリーリフレクション(またはタイプしたリフレクション)61編を作成し、2回インタビューを行った。縦断的なデータを意味深く、感情的に引き出すために研究詩(research poetry; トランスクリプトを詩として再構成したもの)を用い、Wengerのidentificationの様式から得た感受性の高い概念を用いてデータを分析した。
結果:学生は、自分の移行を、ポジティブな感情とネガティブな感情、そして現在と将来のキャリアに関する不確実性に満ちた旅であると表現した。学生は、3つのメカニズムを用いて移行をナビゲートした。1) 主導権を握ることでより積極的に関与するようになる、2) 関与しロールモデルを見つけることで自己イメージを形成する、3) 期待を管理し旅の考え方を取り入れることでクラークシップ規範への柔軟な適応を学ぶ。
結論:臨床研修への移行期における学生のアイデンティティ形成について叙述することに成功した。その結果、学生は主導権を握ることを学ぶことで、時間の経過とともにより積極的に参加するようになったことがわかった。また、チーム活動に参加したり、ロールモデルについて考えたりすることで、自己のイメージを形成していた。彼らは、期待を管理し、旅の考え方を採用することによって、クラークシップの規範に柔軟に適応することを学んだ。我々は、教育機関が医学生に安全な振り返りの機会を提供し、学生の移行期を生き、振り返り、サポートすることを提案する。