医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Combining desirable difficulty learning strategies to address the amount-to-learn vs. time-to-learn imbalance in residency training (Med Teach 2022)

Nelson A, Eliasz KL. Combining desirable difficulty learning strategies to address the amount-to-learn vs. time-to-learn imbalance in residency training. Med Teach. 2022 Apr 18:1-7. Epub ahead of print.

背景:レジデントは限られた時間のなかで、多くのことを学ばなければならない。望ましい困難さ(Desirable Difficulty; DD)学習戦略がその不均衡を緩和することを示す証拠は増えつつあるが、これらの戦略の組み合わせを具体的に研究した研究はほとんどない。

方法:分散型練習と検索型練習の二重の組み合わせ (a double combination of distributed practice and retrieval practice)と、interleaved practiceを加えた三重の組み合わせの2種類のDD戦略を検証した。レジデントが毎年受けるIn-Training Exam(ITE)スコアと卒業生のボード認定成績を、両DDカリキュラムと過去のベースラインとの間で比較した。

結果:ITEの平均点は、過去のベースラインの149.06点から、DDカリキュラムの組み合わせでは160.04点に上昇した(p < 0.001)。ITE の平均得点は、2 つのカリキュラムを組み合わせた場合の162.50 点から、3 つのカリキュラムを組み合わせた場合の155.11 点に減少した(p = 0.03)。また、各教育カリキュラム間において、卒業生の試験成績に大きな変化はなかった。


結論:これらの結果は、DD戦略がレジデントの学習効果を高めることができることを示す証拠となるものである。三重DDの組み合わせでITEスコアが低下したのは、学習者にとって有益な望ましい難易度を超えて、有害な圧倒的難易度に押し上げたことを示唆しているのかもしれない。今後、さらに大規模で多様な環境でこの枠組みを適用し、レジデントの学習を向上させるためにこれらのDD戦略をどのように最適に利用できるかを明らかにする必要がある。