医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Using simulation to increase resident comfort discussing social determinants of health (BMC Med Educ 2021)

Morrison JM, Marsicek SM, Hopkins AM, Dudas RA, Collins KR. Using simulation to increase resident comfort discussing social determinants of health. BMC Med Educ. 2021;21:601.

背景:健康の社会的決定要因(SDoH)は、小児の健康アウトカムに重要な役割を果たしている。研修生は、臨床現場で家族を識別し、話し合い、カウンセリングを行う方法についてほとんど、あるいは全くトレーニングを受けていない。本研究の目的は、シミュレーションベースのSDoHトレーニング活動が、小児科レジデントのこれらのスキルに対する快適さを向上させるかどうかを判断することである。

方法:本研究では、4つの社会的決定要因(食料不安、住宅不安、医療へのアクセス障害、幼少期の有害な経験 [adverse childhood experiences])に焦点を当て、模擬患者を用いたシミュレーション症例を含むカリキュラム介入の前向き研究を行った。レジデントは、5段階のリッカート尺度を用いたpre-post surveyで、各SDoHについて話し合う自信の度合いと活動の満足度を報告した。選ばれたレジデントは、参加から9~12ヶ月後に再び調査を受けた。

結果:85%(33/39)のレジデントがシミュレーション活動に満足していると回答した。活動後、各SDoHについて快適に話し合えると答えたレジデントが増え(Δ% 38-47%; すべてp < 0.05)、その効果は卒後1年目(PGY-1)の参加者で最も大きかった。快適さの改善は、学年度の間、長期的に維持された。より多くのPGY-1参加者が、食の不安(43%対5%; p = 0.04)とACE(71%対20%; p = 0.02)に関連した会話を臨床現場で2回以上行ったことを報告した。

結論:シミュレーションにより、臨床現場でSDoHについて話し合うことに対するレジデントの安心感が高まった。このようなカリキュラムから得られる最大の効果は、研修の初期段階で得られると考えられる。将来的には、シミュレーションを体験し、各テーマに対する快適さが増したことが、臨床現場でこれらの会話を行う可能性の増加と相関するかどうかを調査する必要がある。