医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The effect of e-learning on point-of-care ultrasound education in novices (Med Educ Online 2023)

Lien WC, Lin P, Chang CH, Wu MC, Wu CY. The effect of e-learning on point-of-care ultrasound education in novices. Med Educ Online. 2023;28:2152522.

背景:現在の研究では、超音波診断(US)トレーニングにおけるe-learningの学習効果について、アンケートやシミュレーションを用い、十分に管理された条件下で評価されている。本研究では、卒後1年目(PGY-1)レジデントの臨床USパフォーマンスに対するe-learningの効果を検討する。

方法:この前向き観察研究では、PGY-1と卒後2年目(PGY-2)のレジデントを登録した。初日にe-learningを導入し、各PGY-1にはe-learningプラットフォームへのアクセス権限を与えた。PGY-1には7日目に外傷に対する超音波検査の重点的評価(FAST)のためのポイント・オブ・ケア超音波(PoCUS)カリキュラムを実施し、その後客観的構造化臨床試験(OSCE)を実施した。PGY-2は事前にベッドサイドで1対1のランダム学習を受け、e-learningにアクセスする権限を持っていなかった。PGY-1とPGY-2が行ったFAST検査は30日目に回収された。カリキュラムに関与せず、e-learningの利用を盲検化した指導者が、PGY-1のe-learning利用者、非利用者、PGY-2の間で、数値、画質、診断精度などの臨床FASTのパフォーマンスを評価した。

結果:736件のFAST検査を行った170人のPGY-1、134件の検査を行った53人のPGY-2レジデントが含まれた。70名のPGY-1がe-learningを利用し、最初のアクセスに要した時間の中央値は13.2分(IQR, 6.5-21.1分)であった。PGY-2はPGY-1よりPoCUSの経験が長かったが、70人のe-learningユーザーはPGY-2よりFAST検査を多く行い(中央値[IQR]、4[2-6] vs 2[1-3], p = 0.0004)、PGY-2に比べて画質も良かった(3[3-3.2] vs 3[2.7-3], p = 0.044 )。PGY-1とPGY-2の診断精度には有意差はなかった。

結論:E-learningはUSの学習に良い影響を与える。PGY-1ユーザーは、PGY-2と同等のパフォーマンスを示し、PGY-2ユーザーはPoCUSの経験が豊富であったがさらに良好な画像取得が可能であった。