医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Understanding the role of the art museum in teaching clinical-level medical students (Med Educ Online 2022)

Kagan HJ, Kelly-Hedrick M, Benskin E, Wolffe S, Suchanek M, Chisolm MS. Understanding the role of the art museum in teaching clinical-level medical students. Med Educ Online. 2022;27:2010513.

背景:医学教育におけるビジュアル・アート (visual art)の役割については、特に、プロフェッショナル・アイデンティティ、チームビルディング、曖昧さへの耐性 (tolerance for ambiguity)などの複雑なコンピテンシーについてプログラム評価・学習者評価することに関して、十分に検討されていない。我々は、美術館をベースにした統合的なプログラムが、医学部3年生と4年生にどのようなメリットをもたらすかを探るために研究を行った。

方法:18名の参加者を対象に、6回のセッションを実施した。評価方法としては、セッション後のアンケートと半構造化フォーカスグループを行い、オープンコーディング法を用いて質的に分析した。

結果:分析の結果、「形 (form)」と「機能 (function)」という包括的な領域に関連する7つのテーマが浮かび上がった。「形」のテーマには、参加を可能にするセッションの構造的要素が含まれていた。すなわち、(1)グループの形式、(2)方法(例:ディスカッションのヒント、アクティビティ)、(3)設定(例:美術館の物理的空間、時間的空間)、(4)対象物(例:絵画、彫刻)。「機能」のテーマには、セッションから得られる個人的・職業的な価値や意味が含まれていた。すなわち、(1)他者への感謝、(2)批判的スキル、(3)個人的な探求。

結論:今回の結果は、医学教育におけるビジュアル・アートの役割についての知見を拡大するものであり、ビジュアル・アートは、美術館をベースとした教育方法の特定の形式的側面(グループ形式、方法、設定、対象物)を介して、さまざまなコンピテンシーの臨床に関連する学習を促進する可能性があることを示唆している。