医学教育研究者・総合診療医のブログ

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Socioeconomic status of practice location and Australian GP registrars' training: a cross-sectional analysis (BMC Med Educ 2022)

Moad D, Tapley A, Fielding A, van Driel ML, Holliday EG, Ball JI, Davey AR, FitzGerald K, Spike NA, Magin P. Socioeconomic status of practice location and Australian GP registrars' training: a cross-sectional analysis. BMC Med Educ. 2022;22:285.

背景:社会経済的地位(Socioeconomic status; SES)は健康の主要な決定要因である。オーストラリアでは、社会経済的に不利な地域は、複雑な健康ニーズとプライマリー・ヘルスケアの提供における不公平によって特徴付けられている。General Practice (GP)登録者は、社会経済的不利の大きい地域における公平な医療提供など、労働力のニーズに対応するうえで重要な役割を担っている。我々は、社会経済的不利の度合いによるGP登録者の診療場所の特徴を明らかにし、社会経済的不利の大きい地域で行われているGP登録者の研修との関連(登録者、診療、患者の特徴、登録者の臨床行動)を確立することを目的とした。

方法:Registrars' Clinical Encounters in Training(ReCEnT)研究からの横断的分析である。ReCEnTは、現在進行中の多機関共同研究であり、各GP登録医が6ヶ月ごとの3回の研修期間中に1回ずつ、60件の連続した診察を記録している。転帰因子は、相対的社会経済的不利度指数(the Index of Relative Socio-economic Disadvantage; SEIFA-IRSD)を用いて定義された診療場所の社会経済的不利度である。最低の五分位であるオッズを他の4つの五分位と比較した。独立変数は、登録者、患者、診療、診察に関するものであった。

結果:合計1,736名の登録医が241,945件の診察に貢献した。最も不利な地域での研修との有意な関連は、登録医が常勤であること、研修期間1であること、地方での研修経路にあること、患者がアボリジニまたはトレス海峡諸島民、または英語を話さない背景であること、およびケアの継続性の尺度、などであった。

結論:社会的不利の大きい地域での研修は、地域のニーズに対応するだけでなく、GP登録医に豊かな学習機会を提供する可能性がある。