Hayashi M, Saiki T, Kanter SL, Ho MJ. Leaders' perspectives and actions to manage challenges in medical education presented by the COVID-19 pandemic: a nationwide survey of Japanese medical colleges. BMC Med Educ. 2022;22:144.
背景:COVID-19 pandemicにより、世界中の医科大学が対面式の授業とクリニカル・クラークシップを中断している。この流動的な状況は、教育者と学習者に従来の医学教育からのパラダイムシフトを緊急に要求した。しかし、指導者がどのようにポリシー決定を管理するか、特に文化的背景を考慮した記述には、限りがある。本研究では、COVID-19 pandemic時に、日本の医科大学の学長が対面での授業が困難な状況にどのように対処し、様々な関係者と交流していたかを明らかにするものである。
方法:本研究では、全国82の医科大学の医学教育ディレクターに個別にメールを送信し、オンライン調査を実施した。2020年5月26日から6月12日の間に、医学部長または医学教育ディレクターからの回答を収集した。調査の質問は、文献調査や国際的な研究協力者との協議に基づいて作成された。調査では、COVID-19 pandemioc時のカリキュラム調整を通じてどのような困難と機会に遭遇し、どのような教訓を世界中の医学教育者と共有することができるかを尋ねた。調査の回答は、テーマ分析により分析した。テーマは関係者ごとに分類され、sensemaking theoryのドメインを用いて分析された。
結果:日本の48の医科大学から調査票を回収し、回収率は58.5%であった。調査への参加率は、国立、公立、私立のそれぞれ42.9%、77.8%、74.2%であり、国立よりも公立、私立の方が回答率が高い傾向があった。COVID-19に対応するための学長判断は、医学生、医学生の保護者、医学部教員、政府関係者など、複数のステークホルダーからの情報収集に基づくものであることが示唆された。調査データのテーマ分析から、COVID-19への対応における日本の学部長の行動は、日本文化の特徴を反映しており、深い内省と多様なステークホルダーとの協働を重視する傾向があることが明らかになった。
結論:日本の学部長は、意思決定のための明確なガイドラインがないにもかかわらず、互いに学び合い、地域の文化的背景に沿った多様なステークホルダーの視点を求めることで、COVID-19の課題に適応していた。彼らのアプローチは、世界の医学教育者に重要な教訓を与えるものである。