医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Role of Faculty Characteristics in Failing to Fail in clinical clerkships (Med Educ 2022)

Swails JL, Gadgil MA, Goodrum H, Gupta R, Rahbar MH, Bernstam EV. Role of Faculty Characteristics in Failing to Fail in clinical clerkships. Med Educ. 2022 Jan 4. Epub ahead of print.

背景:コンピテンシーベースの医学教育において、学生の成績不良は、学習者の改善と一般市民の保護のために、正確に記録されなければならない。しかし、教員は否定的と受け取られかねない評価をすることに抵抗があり、クラークシップ担当者は、不合格とすべき学生が合格していることを報告している。学生による教員への評価は、教員の昇進、教育賞、指導的地位において考慮されることがある。したがって、アカデミックランクの低い教員は、自分自身がより脆弱であると認識し、したがって、学生の成績不良を記録する可能性が低くなる可能性がある。本研究では、低い成績評価と関連する教員の特徴を調査した。

方法:一般化混合回帰モデルを用いて、15年間にわたり3年次クラークシップを修了した医学生に対する個々の教員の評価を分析し、評価者のアカデミックランクと低成績評価(LPE)の可能性との関連性を評価した。また、教員の年齢、race、ethnicity、性別など、経験や学問的脆弱性に関連する他の利用可能な要因も組みこんだ。

結果:2007年1月から2021年4月までの間に、585名の教員による3447名の学生に対する50,120件の評価が確認された。教員は、最終評価(1.6%)に比べて中間評価(4.9%)でLPEを与える傾向が強かった(OR = 4.004、95%CI(3.59、4.53)、p < 0.001)。LPEの可能性は15年間の研究期間中に有意に減少した(OR = 0.94 (0.90, 0.97); p < 0.01)。full professorはassistant professorよりもLPEを行う可能性が有意に高かった(OR = 1.62 (1.08, 2.43); p = 0.02)。女性は男性よりもLPEを与える傾向が強かった(OR = 1.88 (1.37, 2.58); p 0.01)。raceや経験など他の教員の特性はLPEと関連しなかった。

結論:LPEの数は時間の経過とともに減少し、assistant professorと比較して、senior facultyは医学生の成績不良を記録する傾向が強かった。