Haruta J, Horiguchi S, Miyachi J, Teruyama J, Kimura S, Iida J, Ozone S, Goto R, Kaneko M, Hama Y. Primary care physicians' narratives on COVID-19 responses in Japan: Professional roles evoked under a pandemic. J Gen Fam Med. 2021 May 14. Epub ahead of print.
背景:日本におけるプライマリ・ケアとCOVID-19対策の曖昧なシステムのなかで、2020年1月から5月までのCOVID-19パンデミックに対処するために、プライマリ・ケア(PC)医師がそれぞれの施設や地域でどのような適応的パフォーマンス (adaptive performance)を示したのかを探った。
方法:医療従事者と人類学者からなるチームにより、ナラティブ分析を行った。地域に根ざした病院や診療所のPC医師10名を合目的的に選び、個人およびグループで計17回のインタビューを行った。逐語的なトランスクリプトデータを、適応的パフォーマンスの概念的枠組みを用いて分析した。
結果:期間(2020年1月~5月)の3つの「フェーズ」を特定した。フェーズ1では、PC医師は当初、病気を自分とは関係のない問題として認識していた。フェーズ2では、ダイヤモンド・プリンセスの発生をきっかけに、医師たちがSNSを活用してCOVID-19に関連する医療問題に取り組み、収集した情報を組織やコミュニティに応用するという適応的パフォーマンスが見られた。続いてフェーズ3では、パンデミックに直面したPC医師たちの、それぞれのコミュニティや組織における適応能力が現れた。その結果、PC医師は地域のコンテクストに敏感に反応し、コンテクストに依存した問題や人間関係に対処することで適応能力を発揮することがわかった。
結論:PC医師は、パンデミックの初期段階において変化する局面や異なる地域でのCOVID-19の現実に対処する過程で、適応的パフォーマンスを発揮した。パンデミックの後の段階では、適応能力の軌跡はまだ見えていない。