医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

The tip of the iceberg: Generalism in undergraduate medical education, a systems thinking analysis (Med Educ 2024)

Kelly M, Power L, Lee A, Boudreault N, Ali M, Hubinette M. The tip of the iceberg: Generalism in undergraduate medical education, a systems thinking analysis. Med Educ. 2024 Jun 15. Epub ahead of print.

背景:世界的にジェネラリストの医師が不足しており、健康の公平性とケアへのアクセスに影響を及ぼしている。医学部が社会的説明責任を果たすための重要な方法は、ジェネラリズムのキャリアに興味を持つ学生を卒業させることである。医学教育においてジェネラリズムは原則として支持されているが、それがカリキュラムにどのように反映されているかはあまり明らかではない。本研究の目的は、カナダの学部医学教育(UME)において、家庭医教育指導者がジェネラリズムをどのように理解し、支持しているかを明らかにすることである。

方法:カナダの全17の医学部における家庭医教育指導者38名にインタビューを行い、質的調査を行った。システム思考の氷山モデルに基づいたテンプレート分析によりデータを検討した。

結果:4つのテーマが特定された: (1)ジェネラリズムを支援する教授・学習戦略-UMEカリキュラムに一貫した範囲が存在した。(2)カリキュラムのパターン-リーダーシップの変化とカリキュラム改革が、ジェネラリズムを支援するイニシアチブを促進したり妨げたりする、肯定的または否定的なフィードバックループを作り出した。(3) カリキュラムの構造-臓器システムを基盤としたカリキュラムとジェネラリスト教員の確保が、ジェネラリスト的アプローチの教育にとって特別な課題となった。(4)メンタルモデルと知識のあり方-カリキュラムにおける生物医学的思考の枠組みの優位性が、患者ケアへのジェネラリスト的アプローチを無意識のうちに損なっていた。

結論:UMEプログラムは、さまざまな教育活動や戦略を通じてジェネラリズムを促進したが、こうした努力は、医学教育における生物医学的アプローチとジェネラリストのケアモデルとの間の認識論的不公平を永続させるカリキュラム構造やメンタルモデルによって打ち消された。社会的説明責任に対する学部課程のコミットメントを、地域社会のニーズと一致させるためには、新しいカリキュラムの枠組みが必要である。