医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

"What's Next in My Arc of Development?": An Exploratory Study of What Medical Students Need to Care for Patients of Different Backgrounds (Teach Learn Med 2024)

Thomas JK, Colbert-Getz J, Bonnett R, Sakaeda M, Hurtado JM, Chow C. "What's Next in My Arc of Development?": An Exploratory Study of What Medical Students Need to Care for Patients of Different Backgrounds. Teach Learn Med. 2024 Jan 23:1-11. Epub ahead of print.

背景:メディカルスクールは、公平な患者ケアを提供するために、将来の医師を育てなければならない。しかし、どのようなアプローチが最適かは、主にメディカルスクールの状況に左右される。我々の機関の卒業生は、米国医科大学協会の卒業時アンケートで、「異なる背景 (different backgrounds)」を持つ患者をケアするのに不十分だと感じていると回答している。我々は、医学生が「異なる患者背景」をどのように解釈しているのか、また多様な患者をケアする準備が整っていると感じるためには何が必要なのかを探った。

方法:我々の機関の医学部2年生(MS2)および4年生(MS4)11名を対象に、フォーカスグループを用いた探索的質的ケーススタディを実施した。フォーカスグループは記録され、書き起こされ、テーマ分析を用いてコード化された。Bobbie Harroの「社会化と解放のサイクル」を用いて、カリキュラムだけでなくメディカルスクールでの経験全体が、医学生がどのようにすべての患者との関わり方を学んでいくのかを理解した。

結果:異なる背景を持つ患者ケアについて学ぶときの医学生の医学教育経験を特徴づける4つのテーマを同定した:(1)異なる背景に対する理解(医学部入学前)、(2)入学プロセス、(3)カリキュラムでの社会化、(4)共同カリキュラム(または環境)での社会化。さらに、異なる背景を持つ患者への対応方法を学ぶ際のテーマ2、3、4を、(a)現状、(b)変更案の2つのサブテーマに分けた。私たちは、提案されている変更に従うことで、学生が異なる背景を持つ患者をケアする準備ができたと感じるようになると予想している。

結論:我々の知見から、多様な患者集団のケアに対応できるよう医学生を準備するには、医学生の教育全体を通して多くの意図的な変更が必要であることが示された。Harroの社会化と解放のサイクルを分析レンズとして用い、医学生の教育経験全体を通して、多様な集団へのケア方法を学ぶ障害となっている複数の場所を特定した。我々は、多様な背景を持つ患者をケアするための十分な準備を学生にさせるために、医学生の教育における変化を提案する。提案する各変革は、教育機関内の体系的な転換へと結実するものであり、管理職、教員、入学試験、カリキュラム、学生課による意図的な取り組みが必要である。