医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Patients' perspectives on medical students' professionalism: Blind spots and opportunities (Med Educ 2022)

Haney S, Rowland P, Ginsburg S. Patients' perspectives on medical students' professionalism: Blind spots and opportunities. Med Educ. 2022 Jan 30. Epub ahead of print.

背景:医学教育において患者が重要なステークホルダーであることは研究により認識されているが、教育者は患者の視点を医学生のプロフェッショナリズムの育成に十分に取り入れていないのが現状である。我々は、プロフェッショナリズムの評価における患者の潜在的な役割を検討する第一歩として、医学生のプロフェッショナルな行動に対する患者の認識を探ることを目的とした。

方法:既存の「否認カリキュラム (disavowed curriculum)」の枠組みをもとに、構成主義的グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて、ある都市部の病院で19名の患者(11W、8M)からインタビューを行い、データを分析した。参加者は、医学生が直面するプロフェッショナルとしての困難な状況を描いた5つのビデオシナリオを見た後、それぞれのシナリオに描かれている患者と学生の両方の立場に立って、それぞれの立場から適切または不適切だと思われる行動について議論するよう求められた。

結果:患者の回答は、プロフェッショナリズムの原則、学生の影響や内的要因、行動の潜在的影響など、否認されたカリキュラムのすべての要素を再現していた。また、患者からの回答は、肯定的、非肯定的、否定的な根拠を反映したものであった。また、参加者は、「仲間内の不和を隠す」「プライバシーを尊重する」「自分自身を擁護する」「システムを信頼する」などの新しい原則も確認した。患者は、学生がバランスを取るべき複数の競合要因(例:最適なケアを提供しながら教育機会を最大化する)を理解し、学生が直面する圧力のいくつかに共感しているようであった。

結論:本研究の結果は、プロフェッショナリズムに関する教員と学生の視点に基づくこれまでの研究に大きな盲点があることを指摘するものである。患者が何を重要視しているかを知ることで、彼らの価値観を反映した教育や評価の取り組みに磨きをかけることができる。私たちの研究は、医療系学習者の評価に患者を含める最善の方法を理解するためのプロセスを開始するものである。