医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

International medical learners and their adjustment after returning to their countries of origin: a qualitative study (BMC Med Educ 2024)

Wongprom I, Ruangsomboon O, Huang J, Ghavam-Rassoul A. International medical learners and their adjustment after returning to their countries of origin: a qualitative study. BMC Med Educ. 2024;24:731.

背景:レジデントやフェローを含む国際的な医学研修生は、文化的な上下関係、言語、受け入れ態勢の違いなど、多くの課題に対処しなければならない。それにもかかわらず、適応の必要性は海外での研修終了後も続く。海外研修生のなかには、帰国後も逆カルチャーショックによる適応の困難に直面する者もいる。また、さらに多くの再適応をしなければならない人もいる。本研究では、研修終了後に母国へ帰国した外国人医学研修者の適応と対処戦略について検討する。

方法:本研究は解釈主義に基づく質的アプローチを採用し、Braun and Clarkeの方法に従って帰納的テーマ分析を利用した。参加者の対処戦略を探るために、半構造化、詳細な個人面接を採用した。参加者は、(1) 国際的な医学部卒業生ですでに母国に帰国している、(2) プログラム開始時点ではカナダ国籍を有していない、または永住権を有していない、(3) カナダ・オンタリオ州トロント大学のレジデントまたはフェローシップ研修プログラムに在籍していた国際的な医学学習者であった。

結果:参加者は17名。分析から3つの主要テーマと7つの下位テーマが作成され、Ice Skater Landing Modelで表された。このモデルによると、帰国後の対処プロセスには3つの主要な力、すなわち原動力、安定化力、状況的力がある。これらの力の総和と相互作用が再適応プロセスに影響を与える。

結論:海外で研修を受け、帰国した国際的な医学学習者は、しばしば再適応に苦労する。円滑な移行には、原動力と安定化力の均衡が重要である。本研究の知見は、関係者が対処過程をよりよく理解するのに役立つ。健全な対処過程は仕事への満足度や定着率に関係するため、帰国適応を支援し短縮する努力は価値がある。