医学教育研究者・総合診療医のブログ

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The Development and Characteristics of Planetary Health in Medical Education: A Scoping Review (Acad Med 2024)

Visser EH, Oosterveld B, Slootweg IA, Vos HMM, Adriaanse MA, Schoones JW, Brakema EA. The Development and Characteristics of Planetary Health in Medical Education: A Scoping Review. Acad Med. 2024 Jul 2. Epub ahead of print.

背景:気候変動、生物多様性の損失、その他の生態系の危機は、世界的に人間の健康を脅かしている。人間の健康と生態系の相互関係は、プラネタリー・ヘルスという新たな分野で取りあげられている。生態系の危機は、持続可能な医療を含むプラネタリー・ヘルスを医学教育に統合する緊急性を生み出している。統合を促進し、今後の研究の指針とするために、本総説は医学教育におけるプラネタリー・ヘルスに関する既存文献の概要を提供することを目的とする。

方法:著者らは、従来のスコーピング研究の方法論的枠組みを用いてスコーピング・レビューを行った。2022年3月に言語制限なく7つのデータベースで包括的検索を行った。2名の研究者が独立してデータを抽出した。チームは、データ駆動型のテーマ分析、内容分析、質的要約を用いてデータを分析した。データは、the Curriculum Development for Medical Education: A Six-Step Approachに従って構成した。

結果:著者らは3,703件の論文を同定し、そのうち127件を組み入れた。論文の大部分(71%, n = 90)は、医学教育にプラネタリー・ヘルスを統合するという呼びかけを取り上げていた(ステップ1:一般的なニーズ評価)。多くの出版物(24%, n = 31)が学習目標(ステップ3)を提案しており、これらは主に意識向上に関するもので、行動視点に関するものは少なかった。カリキュラム開発の最終段階に関する報告は限られていた。カリキュラム開発の全サイクルをカバーしたものは2件のみであった。ほとんどが最近出版されたもので、筆頭著者は主にヨーロッパと北米であった。

結論:医学教育におけるプラネタリー・ヘルスは、緊急かつホットなトピックである。文献は主に、なぜ医学教育にプラネタリー・ヘルスを取り入れるべきなのか、何を取りあげるべきなのかに焦点を当てていた。著者らは、今後の研究と教育開発において、特に評価とフィードバックにおいて、それをどのように行うかにシフトすることを推奨している。研究と教育開発は、体系的に行われ、報告され、教育原則に裏打ちされる必要がある。最後に、「欧米ベース」以外の視点も有益であろう。