医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

Music in medical education: A critical interpretive synthesis (Med Educ 2023)

Orchard AR, Sitoh J, Wyatt A, Moore M. Music in medical education: A critical interpretive synthesis. Med Educ. 2023 Dec 27. Epub ahead of print.

背景:多くの人々が医学教育における音楽の価値を唱えているが、医学教育において音楽がどのように、またなぜ提供されてきたのかという具体的な研究はまばらであり、文献を統合する試みはほとんどなされていない。

方法:1977年から2022年の間に出版された論文、通信、抄録、およびone thesisを含む56のテキストについて、批判的解釈統合(Critical Interpretive Synthesis; CIS)を行い、医学教育で音楽を提供する根拠を探った。

結果:合計52の音楽に焦点を当てたプログラム/活動が記述されており、カリキュラムとカリキュラム外活動の両方、受容的音楽活動と参加型音楽活動、幅広い音楽ジャンルが含まれていた。テキストから抽出されたデータを帰納的に分析した結果、医学教育における音楽の使用に関するさまざまな根拠が明らかになり、それらは相互に関連する7つのテーマに分類することができた:ウェルビーイング、支援的学習環境、感情移入、教育と学習、臨床実践のためのスキル開発、医学におけるヒューマニズム、創造的表現(アイデンティティ)。

結論:この統合の結果は、音楽のアフォーダンスについて主張されていることと、医学教育研究で明確に扱われてきたこととの間にギャップが残っていることを示している。この分野の研究は少ないにもかかわらず、利用可能なデータは、音楽のアフォーダンスは「複数」であり、線形モデルではうまく表現できない可能性があることを裏付けている。音楽を聴くことが医学生にとって有益であるという証拠は、ウェルビーイング、学習環境の促進、感情移入、暗記、創造的表現(アイデンティティ)など、音楽のアフォーダンスに関するものが最も強い。臨床実践のためのスキル開発など、音楽との関わりがヒューマニズムを高める可能性については、さらなる調査が必要である。学生の主体性と音楽の持つ「複数の」アフォーダンスを考慮することで、今後の教育や研究が、医学生ウェルビーイングと個人的・専門的な発達に役立つ最善のものとなるであろう。