医学教育研究者・総合診療医のブログ

医学教育、総合診療について気ままに綴ります。

A scoping review on the relationship between mental wellbeing and medical professionalism (Med Educ Online 2023)

Sattar K, Yusoff MSB, Arifin WN, Mohd Yasin MA, Mat Nor MZ. A scoping review on the relationship between mental wellbeing and medical professionalism. Med Educ Online. 2023;28:2165892.

背景:医学生のメンタル・ウェルビーイング問題はよくあることであり、医療プロフェッショナリズムとの関係も議論されている。このような問題を卒前医学教育と関連づけることを試みた研究はほとんどない。本総説は、卒前教育におけるメンタル・ウェルビーイングと医療プロフェッショナリズムの関係を探ることで、この問題に関する知見を深めることを目的とした。

方法:Web of Science、PubMed、Scopus、ScienceDirectの各データベースから、"mental wellbeing""medical professionalism"という検索語を用いて、メンタル・ウェルビーイングと医療プロフェッショナリズムに関する文献(1986年1月1日から2021年3月31日までに出版)を収集した。年齢層、国籍、人種、性別を問わず、卒前医学教育現場におけるメンタル・ウェルビーイングと医療プロフェッショナリズムの話題を中心とするピアレビューの論文を全て対象とした。

結果:13,076件の論文から、16件の論文を抽出した。この16編の論文は、4大陸9カ国のものであり、主要な研究テーマ(メンタル・ウェルビーイングと医療プロフェッショナリズム)に関するポイントを抽出し、研究課題に対する回答を得ることができた。テーマ1(メンタル・ウェルビーイング)では、バーンアウト、ストレス、うつ、失望、脱人格化、良心的という6つのサブテーマが浮かびあがった。一方、テーマ2(医療プロフェッショナリズム)には、共感、学業成績、思いやり、アンプロフェッショナルな行動、プロフェッショナリズムという5つのサブテーマがあった。共感とバーンアウトの間には、有意な逆相関がみられた。学業成績もバーンアウトと関係があった。同時に、共感はストレスと様々な関連性を持つことがわかった。さらに、思いやりは、バーンアウトを緩和し、専門的な満足感を育むことがわかった。

結論:メンタル・ウェルビーイングの問題が大きくなるにつれて、医療プロフェッショナリズムの属性が悪化することが明らかになった。これは、医学生の全身の健康、現在の学習能力、将来の患者に対する態度に害を及ぼす可能性がある。したがって、医療プロフェッショナリズムとメンタル・ウェルビーイングの因果関係を検討し、介入するための明示的な一次研究が必要である。